たんぽぽの命【テゴマス】 (ページ6)

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side 手越

公演初日まで、残り2ヶ月。

俺はレッスンに復帰し、着々と準備を進めていた。

そんな中発表された新案。

「各自のソロ曲の他に、
手越さんだけソロ曲を1つ増やしたいと思う」

「「「「え？」」」」

突然の事務所側の提案に

俺たちは何を言われてるか、さっぱり分からない。

「それってどういう」

「他の3人にはバックで踊ってもらう」

「え？」

「Jr.の立ち位置ってことか…」

「でも曲は？」

「新しく用意した」

振り入れも明日からよろしく、と続く言葉。

突然の抜擢に頭がパニックになる。

「あの……なんで俺なんですか」

「手越さんの歌唱力を評価しての結果だよ」

当たり前、とでも言いたげに放たれた言葉に

流れる気まずい空気。

でも

曲も振り付けも
全部用意してくれた事務所に逆らえるほど

俺は自分の気持ちを貫けない。

「おめでとう！」

重苦しい空気を振り払うように
慶ちゃんの声がした。

自分のことのように
嬉しそうに手を叩いてくれる。

「手越なら出来るよ、応援する」

「そうだな、手越なら文句言えねぇわ」

「シゲ……」

ありがとう

心の中で思っていると
温度のない目をしたまっすーと目があった。

「俺飲み物買って来るわ」

そう残し部屋を出て行ってしまう。

怒ってる……？

俺はその背中を追いかけた。