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「あ、おはよう」
「…はよ」


朝になってようやく、勇人の顔が見れた。
まだ眠たくて愛想がないのか、そうではないのか。
私には分からない。


「朝ごはん出来てるよ」
「ん」
「それからお弁当、忘れないでね」
「ん」


勇人は私には目もくれず、
ゆっくりと朝食を食べていく。


「夕飯なんだけど、」
「いらん」
「え?」
「外で食べてくる」
「そっか…ごめんね」


勇人の箸がピタリと止まった。


「勇人?」


勇人は立ち上がると私の後ろへ回り込み、
ぎゅっと抱きしめて首筋に自身の顔を埋めてきた。
それがくすぐったくてたじろぐと、
さらに強い力で抱きしめられた。


「は…勇人…?」


チク、と首筋に小さな痛み。
また紅い跡を残されたな、と冷静に思っていると、
勇人の左手が私の太ももを撫で始める。

驚いて声が出ると、勇人は気を良くしたのか
右手で私の顎を掴み、くいっと後ろを向かせて
キスを落とした。

それは優しくて優しくて。
甘くとろけそうなキスで。

息が上がってくると、
履いていたスカートをまくり上げ
自身の下腹部を押し当ててくる。


「勇人…」
「声、抑えんと哲人に聞こえるで?」


それからは勇人にされるがままだった。
まだ朝だし、
てっとに気付かれるかもしれない状況下で、
勇人は容赦なかった。


「やめ…やめて…」


必死の願いも聞き入れてもらえるはずもなく。
行為はエスカレートしていくだけだった。

でも激しいだけではなく、
私を労ってくれる優しさもちゃんとあって。

頭の中はなにも考えられなくなっていった。








力尽き、へなへなとその場に座り込む。
すると勇人がこてん、と肩に頭を乗せてきた。







「行かんといて…」






小さく小さく呟かれた言葉は
勇人の本心に他ならない。

その言葉はたった1回言われただけだったけど
私の頭に…そして心にも鮮明に記憶された。



こんなに弱り切った勇人、知らない。



いつも自信に満ち溢れているような人なのに。
私にすがるように放った一言が、
こんなにも胸を締め付けることになるなんて。



「……」



私はなにも答えられなかった。

勇人がやっとの思いで紡いだであろう言葉。






聞こえていないフリをした。

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琴子(プロフ) - 初めまして、せっかくいい作品なのに鍵を付けるのはどうしてですか?私も含めて見たいと思ってる人沢山いると思います。鍵を外せとは言いません。でも私達にも読むチャンスがあってもいいんじゃないでしょうか。作者様の深いお心で考えていただきたいと思います。 (2018年9月5日 1時) (レス) id: 1b69955aed (このIDを非表示/違反報告)
AIRA(プロフ) - いおりさん» はじめまして!コメントありがとうございます☆更新遅くて本当にごめんなさい(涙)頑張るので最後までどうかお付き合いくださいっ!よろしくお願いします! (2018年4月10日 23時) (レス) id: 995a215616 (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - 久々の更新とっても嬉しいです〜〜!!!連投ごめんなさい(;_;) (2018年3月4日 21時) (レス) id: 0e33b65e0a (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - はじめまして!かなり前なのですが、ネコとライオン。を見つけ、AIRAさんの作品を読ませていただいて、こちらの作品も、ネコとライオンの番外編も続きを楽しみにしてました〜!!これからもAIRAさんの作品を楽しみにしてます!!! (2018年3月4日 21時) (レス) id: 0e33b65e0a (このIDを非表示/違反報告)
AIRA(プロフ) - 楽天loveさん» 遅くなってすみません( ; ; )朧月夜のパスワードは、現在お答えしていないのです( ; ; )削除すら検討している作品ですので、どうかご容赦くださいませ( ; ; ) (2018年3月3日 23時) (レス) id: 995a215616 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AIRA | 作成日時:2017年4月29日 4時

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