30 ページ30
「とりあえず、俺ん家来ません？」
２人の会話はあっという間に終わった。
てっとは「じゃ」とすぐに電話を切ったから。
パチン、と寝室の電気が付けられた。
急に眩しくなって布団を頭までかぶると、
てっとが上からぼすん、と乗ってきた。
「重い〜」
「勇人さん来るから、早く服着よ」
「来るの？」
「来るよ、すぐ来る」
てっとはベッドの下に散らばる私の服を拾い集め、
私に手渡す。
私はそれを、カラダを隠しながら着た。
てっとは部屋着に着替えて、
２人で寝室を出る。
扉も閉めて、電気も消して。
リビングのソファーに座ると、
また「水しかない」と笑って、
ペットボトルが差し出された。
それをひと口、ふた口と飲んで、
残りはテーブルの上に置いた。
「勇人さんが来たら、俺が話すから」
「…えっちしたこと？」
「ちゃうわ！これからのこと！」
火に油やん、とてっとが笑って。
勘違いした私の顔はみるみる赤く染まっていった。
「Aちゃんは黙っててな」
「どうして？」
「これは俺と勇人さんの問題やから」
わかった、と言ってみたけど。
ほんとはよく分からなかった。
てっとと坂本勇人の問題？
私には関係ないの？
私の借金は坂本勇人に返済してもらうのに。
無理矢理とは言え、坂本勇人は恩人。
その恩人を裏切って
てっととも関係を持ってしまった。
私はなんて汚い女なのだろう。
「Aちゃん、誤解せんとってな？」
「え？」
「Aちゃんを蚊帳の外にしたいわけじゃないねん」
「…うん」
「これはどーしようもない男２人が、1人の女の子を奪い合ってるだけの話やから」
てっとはにっこり笑う。
そしてその後すぐに、インターホンが鳴った。
「はえーなー」
てっとはぼそっとつぶやいて。
落ち着いた足取りで玄関へ向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 679人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琴子(プロフ) - 初めまして、せっかくいい作品なのに鍵を付けるのはどうしてですか？私も含めて見たいと思ってる人沢山いると思います。鍵を外せとは言いません。でも私達にも読むチャンスがあってもいいんじゃないでしょうか。作者様の深いお心で考えていただきたいと思います。 (2018年9月5日 1時) (
レス) id: 1b69955aed (このIDを非表示/違反報告)
AIRA(プロフ) - いおりさん» はじめまして！コメントありがとうございます☆更新遅くて本当にごめんなさい（涙）頑張るので最後までどうかお付き合いくださいっ！よろしくお願いします！ (2018年4月10日 23時) (レス) id: 995a215616 (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - 久々の更新とっても嬉しいです〜〜！！！連投ごめんなさい（；＿；） (2018年3月4日 21時) (レス) id: 0e33b65e0a (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - はじめまして！かなり前なのですが、ネコとライオン。を見つけ、AIRAさんの作品を読ませていただいて、こちらの作品も、ネコとライオンの番外編も続きを楽しみにしてました〜！！これからもAIRAさんの作品を楽しみにしてます！！！ (2018年3月4日 21時) (レス) id: 0e33b65e0a (このIDを非表示/違反報告)
AIRA(プロフ) - 楽天loveさん» 遅くなってすみません（ ; ; ）朧月夜のパスワードは、現在お答えしていないのです（ ; ; ）削除すら検討している作品ですので、どうかご容赦くださいませ（ ; ; ） (2018年3月3日 23時) (レス) id: 995a215616 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：AIRA
| 作成日時：2017年4月29日 4時
