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こんなてっと知らない。
知りたく…なかった。

ぽろぽろと涙が溢れるけれど
手は拘束されていて拭えない。


「…泣かんとって…」


てっとが消え入りそうな声で呟いた。
ふと見上げると、てっとも薄っすら涙を浮かべている。


「ごめん」


きつく拘束されていたネクタイが解かれる。
ベッドの脇にあったティッシュで優しく涙を拭い、
大きく温かい手で、私の頬を撫でた。


「てっと…?」
「意地悪してごめん」


てっとは着ていたシャツを脱ぎ、
私の肩へとふわりとかけた。
そしてぎゅうっと私を抱きしめる。


「手に入らんのなら、壊したろと思ったんやけど」


ぽつりぽつりと話し出すてっと。
その声は弱々しく、時折鼻をすする音がする。


「俺…やっぱAちゃんに嫌われたくない」
「てっと…」
「好き…好きや…」


てっとの体温が伝わる。
とてもとても、あったかい。


「Aちゃんの、そばにいたい」
「てっとぉ…」


次々と両目から涙がこぼれ落ちた。
いつものてっと。
それに心底安心して、嬉しかった。


「ごめん、ごめんな」


必死に謝るてっとに、私は首を縦に振る。
うん、うん、と何度も。


「許してくれる…?」
「怒ってなんて、ないよ」
「優しすぎるやろ」


どちらからともなく、くちびるを重ねた。
何度も、何度も。
角度を変えて、次第に激しく。

息が上がってきたところで、
ぽすっとベッドに押し倒される。


「てっと…?」
「あかん…我慢できん」


暗くててっとの顔がよく見えない。


「Aちゃん、シたい」
「…!」
「あかん…かな?」


ツーっと胸の間からおへそをなぞる。
「ひゃ」と声が出てしまうと、てっとは笑った。


「いただきます」
「いいよなんて言ってないのに」
「嫌やとも聞いてないので」


私たちは笑い合った。




そして愛し合った。

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琴子(プロフ) - 初めまして、せっかくいい作品なのに鍵を付けるのはどうしてですか?私も含めて見たいと思ってる人沢山いると思います。鍵を外せとは言いません。でも私達にも読むチャンスがあってもいいんじゃないでしょうか。作者様の深いお心で考えていただきたいと思います。 (2018年9月5日 1時) (レス) id: 1b69955aed (このIDを非表示/違反報告)
AIRA(プロフ) - いおりさん» はじめまして!コメントありがとうございます☆更新遅くて本当にごめんなさい(涙)頑張るので最後までどうかお付き合いくださいっ!よろしくお願いします! (2018年4月10日 23時) (レス) id: 995a215616 (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - 久々の更新とっても嬉しいです〜〜!!!連投ごめんなさい(;_;) (2018年3月4日 21時) (レス) id: 0e33b65e0a (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - はじめまして!かなり前なのですが、ネコとライオン。を見つけ、AIRAさんの作品を読ませていただいて、こちらの作品も、ネコとライオンの番外編も続きを楽しみにしてました〜!!これからもAIRAさんの作品を楽しみにしてます!!! (2018年3月4日 21時) (レス) id: 0e33b65e0a (このIDを非表示/違反報告)
AIRA(プロフ) - 楽天loveさん» 遅くなってすみません( ; ; )朧月夜のパスワードは、現在お答えしていないのです( ; ; )削除すら検討している作品ですので、どうかご容赦くださいませ( ; ; ) (2018年3月3日 23時) (レス) id: 995a215616 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AIRA | 作成日時:2017年4月29日 4時

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