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「それはお断りします」


てっとの家に行くことは、きっぱり断った。
話の続きは気になるけど…
そうやすやすと男性の家になど上がれない。


「やっぱり?」


また犬のようにしゅんとするてっと。
いつものように頭をポンポンとすると、
その手を掴まれてしまった。


「手錠でもかけて閉じ込めたろと思ったのに」
「……一生行かない」
「嘘やって!」


てっとの顔からは、冗談なのか本気なのかは
読み取りづらかった。
ただ、無理して笑っていることは分かった。

離された手を今一度てっとの頭へ持っていき、
ゆっくりとその髪を撫でる。
てっとは「くすぐったい」と笑ったけど、
私はその手を止めなかった。


「Aちゃん?」
「無理して笑わないでください」


てっとの顔から笑顔が消えた。


「傷付いた顔、してるから」


そう告げると、てっとは勢いよく私を抱きしめた。
強く、強く、強く。


「てっと…!いたいよっ」
「Aちゃん…」


抗議の声も虚しく、願いは聞き入れられなかった。


「…おねがい」


そして彼から紡がれた力ない言葉は、
私の耳へなんとか運ばれて来た。


「今夜は俺ん家来て…?」


震えるような声で。
しぼり出した願いは、先ほどと同じ。
しかし今回は…
断れば消えてなくなってしまいそうなほど、
彼が小さく弱い人間に見えた。


「そばにいて?絶対何もせーへんから」


「離したくない」


「そばにいたい」


「おねがい…」


男性にここまで懇願されるなんて
初めてだった。

ぐらり、ぐらりと。
固めていた決意が揺れる音がした。


「ほんとに…なにもしない?」
「男に二言はない」


てっとは顔を埋めたままそう答えた。
彼の言葉を、信頼するしかなかった。


「行く」


ありがとう、と。
消え入りそうな声が聞こえた。

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琴子(プロフ) - 初めまして、せっかくいい作品なのに鍵を付けるのはどうしてですか?私も含めて見たいと思ってる人沢山いると思います。鍵を外せとは言いません。でも私達にも読むチャンスがあってもいいんじゃないでしょうか。作者様の深いお心で考えていただきたいと思います。 (2018年9月5日 1時) (レス) id: 1b69955aed (このIDを非表示/違反報告)
AIRA(プロフ) - いおりさん» はじめまして!コメントありがとうございます☆更新遅くて本当にごめんなさい(涙)頑張るので最後までどうかお付き合いくださいっ!よろしくお願いします! (2018年4月10日 23時) (レス) id: 995a215616 (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - 久々の更新とっても嬉しいです〜〜!!!連投ごめんなさい(;_;) (2018年3月4日 21時) (レス) id: 0e33b65e0a (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - はじめまして!かなり前なのですが、ネコとライオン。を見つけ、AIRAさんの作品を読ませていただいて、こちらの作品も、ネコとライオンの番外編も続きを楽しみにしてました〜!!これからもAIRAさんの作品を楽しみにしてます!!! (2018年3月4日 21時) (レス) id: 0e33b65e0a (このIDを非表示/違反報告)
AIRA(プロフ) - 楽天loveさん» 遅くなってすみません( ; ; )朧月夜のパスワードは、現在お答えしていないのです( ; ; )削除すら検討している作品ですので、どうかご容赦くださいませ( ; ; ) (2018年3月3日 23時) (レス) id: 995a215616 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AIRA | 作成日時:2017年4月29日 4時

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