#00 上本博紀 ページ8
#00 上本博紀
Aは福留と相談を重ね、シーズンオフの甲子園のグラウンドを決断の日とした。
時間も指定して、仕掛け人たちも、合わせて準備をしていたが、Aが時間になっても現れず、しびれを切らしていた。
同時刻。
Aは先輩の雑談相手をこなしていたため、1時間もの大遅刻。
グラウンドまでの廊下を疾走し、階段に一歩足を掛けると、待ち構えている藤浪と梅野が視界に入った。
「まだおる?!」
藤「いいから早く!」
Aを見た梅野が全員に向かって合図を送ると、上本以外は練習をしつつお祝い体勢をとった。
藤浪に急かされたAは階段を駆け上がり、グラウンドに飛び込んだ。
急激な運動で息が上がってしまい、藤浪に手を付いて呼吸を整える。
その間に内野を見ると、上本が大和と共に守備練習をしていた。
幸いにも、こちらに気付いておらず、Aに背を向けて大和と話し込んでいる。
「…よしっ、行くぞ!」
自身で気合を入れたAは、背筋を伸ばして、大きく息を吸い込んだ。
「上本さーん!私と結婚してくださーいっ!!」
両手を口に添えて大絶叫。
こんな展開になるとは思わず、全員が呆然と立ち尽くす。
「何か空気変やん…」
藤「ここは『お付き合いしてください』でしょ?」
◆◇◆
一方、Aの一世一代の告白を真正面で聞いた上本は、立ち尽くしていた。
上「え…マジ?」
大「俺ら、半年前に振られてるから」
それを聞いた瞬間、嬉しさが込み上げてきた。
走っていく間も惜しくて、その場で返事をする。
「Aちゃーん!絶対に幸せにしまーす!」
ベンチでも出ないような大きな声は、グラウンドに響いた。
…が、肝心のAは若手と喋るのに夢中で気付いていない。
急に羞恥心が沸いた上本は、笑う大和に八つ当たり。
上「ぶち恥ずかしいわ!」
◆◇◆
梅「姐さん、今の聞いてました?」
「ん、何が?」
「「…」」
Aが、変な空気に首をかしげていた矢先。
顔を動かされ、視界が真っ暗になり、唇に何かが触れ、明るくなると上本が正面に現れた。
上「幸せにするけぇ。結婚しよう」
一瞬の出来事に、状況を読み込めない。
真っ赤な顔の上本を見て、何となく察した。
「もしかして…」
藤「良かったっすね」
梅「おめでとうございます」
グラウンドにいる全員から祝福を受けるが、やっぱり例のあれが引っかかってくる。
「すいません――
もっかい言ってくれません?」
上「もう3度目はナシじゃ!」
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さや - はじめまして。おすすめ作品に出て来て、読んでみました! まだまだ読破には遠いのですが、楽しく読ませて貰ってます! (2018年9月12日 18時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
Quintet(プロフ) - さかきさん» はじめまして、こんばんは!お付き合いいただいて、ありがとうございます。まさかこの作品で好きになっていただけるとは…嬉しい限りです!短編集も細々と頑張りますので、よければリクエストしてくださいね!これからも、よろしくお願いいたします! (2017年10月21日 18時) (レス) id: 06dcf55897 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - はじめまして!完結おめでとうございます!ドラゴンズファンの私ですが、Happy Everydayのおかげで、タイガースのことも大好きになりました!!短編集も楽しみにしております(´▽`*) (2017年10月20日 21時) (レス) id: 9dcd9df020 (このIDを非表示/違反報告)
Quintet(プロフ) - ご声援、ありがとうございます!短編集も頑張ります!(o´∀`)o (2017年10月19日 17時) (レス) id: 2b0fd95d19 (このIDを非表示/違反報告)
雛@虎ガール(プロフ) - 完結おめでとうございます!連載お疲れさまでした!いつまでも、応援してます!短編集も更新頑張って下さい! (2017年10月18日 22時) (レス) id: 940eb26264 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Quintet | 作成日時:2017年10月18日 19時