Happy Everyday Forever

#0　大和 ページ7

#0 大和





「甲子園で一生食べさせていくので、結婚させてください」


1年ん交際を経て、甲子園の前で彼女にプロポーズ。
シーズン中に入籍、シーズン終わりに結婚式を挙げて、旅行にも行った。
たまに、剛どんの発案で彼女を含めてん食事会もあって、昼ドラんごたっドロドロとした関係はキレイになっなった。

彼女ん人気は大きって、仕事を辞めたことが分かっと、球団に問い合わせが来ちょる。
協定をきびっちょる記者は関係なかが、あぶれちょる記者は想像を膨らませた記事を書き立てて、誹謗中傷を繰り返しちょる。
球団にはもちろん入籍したことは伝えちょるが、発表は控えてもろうて、問い合わせに関しては「一身上の都合で退職した」て応えてもろうちょる。
ただでせ今は時期が悪かどん、これ以上彼女に精神的な負担をかけよごたなか。
球団とは、適切な時期が来れば、こちらからゆと約束はしちょる。



◆◇◆



そして、そん時期が来た。
甲子園でサヨナラテムリーを打ったそん日。
ヒーインに呼ばるっことになって、広報と相談して、せっかっじゃっでおいんことも併せて報告すっことにした。
インタビューが始まって、あっ程度ん試合に関すっ質問をこなしてから、アナウンサーが切り出す。

『ここで、ファンの皆さんにご報告があるんですよね！？』

そう言わるっと、試合以上に緊張すっなぁ。

「実は、昨年に入籍いたしまして…」

こん一言だけで、スタンドがどよめいた。
『おめでとう』が聞けてきたり、悲鳴が上がったりして、一瞬で混乱。
鳴りやまん声ん合間を計って、もう1つ大事なことを伝ゆっ。

「先月、第一子が生まれました」

さらに上回っ声が響き渡って、ゆたおいですらこん反応にビビってしまう。

『それで今日、奥さまが来ていらっしゃるんですよね？』

今、立っちょる真正面に、息子を抱いちょるAが座っちょる。
恥ずかしゅうて手を振れんじゃっどん、向こうは笑いながら後ろを指差しちょる。
そん先を見っと、バックスクリーンに彼女が大きっ映っちょった。

『もしかして、奥さまは球団広報だったAさんですか？』
「はい、そうです」
『サヨナラのボールは、もちろん奥さまに？』
「家に帰ったら渡します」
『では、最後にファンの皆さんに一言お願いします』
「チームのために、家族のために、もっと頑張ります！応援よろしくお願いします！」

ここが終わってんまた、記者に囲まれるんじゃろうな。
早うこんボールを、愛すっ家族に渡そごたっど。

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