Happy Everyday 7th.

んで、何か起こったby1軍 ページ37

翌日。
練習終了後のロッカールームは、いつも通りの賑やかさ。
今日はこんな記者が居ただの、缶コーヒーの空き缶を辿ったら監督にたどり着いただの、高代コーチとドリスがジャンケンしていただの…と、練習中の目撃話をグダグダと話していた。

能「昨日帰ったら、Aが電気も点けんと居ってさー」

能見とAが同居していることは、選手間でも共有されている。

能「自分の部屋で『湯をひけぃ』って叫んどってん」
藤「めっちゃ怖いやん」
能「さすがの俺でも引いたわ」

藤川が能見の話し相手をしている最中――

糸「あ、お嬢さん！」

糸井が声を上げた。

糸「トリって、そんなことすんねんやー。めっちゃ、いがーい！」

鳥谷のスマホを覗き込んで、指さしている。

糸「しかも、めっちゃラブラブやーん」

この言葉に能見が敏感に反応し、鳥谷を睨んだ。
一瞬で黒いオーラが漂い始め、巻き込まれたくない選手は荷物をまとめて、早々に部屋を出ていく。

糸「お嬢さんと付き合ってたん？」
鳥「イヤ、まだ。予定はしてる」
糸「おぉー。想像以上に複雑」

笑いどころは全くないのに、糸井は鳥谷らを見て、独りで腹を抱えた。

糸「ホンマ、ヤバいなぁ。こんなん、外じゃ話されへんから、今のうち笑っとかな」
福「よー、暢気に言えるわ。お前のツボが分からん」

呆れ果ててる福留は、よいしょとベンチから腰を上げる。

福「からかってないで、さっさと行くぞ。ただでさえ遅れてんのに…。俺は先に行ってるからな」
糸「えぇ？ちょっ…俺、場所知らん！」

福留に諭され、糸井は中途半端だった着替えと帰り支度を済ませ、リュックを背負った。

鳥「そんなに慌てて、何があんだよ？」
糸「お嬢さんとメシ食うんねん！球児さんも早く！おつかれーっす！」

嵐を巻き起こすだけ巻き起こした男は、猛スピードでロッカールームを駆け出していった。

藤「言っとくけど、今日は既婚者会やから、お前らのお株をとるつもりはないからな。じゃ、お先に」

呼ばれた藤川も、この大事な一言を残して、他の選手に紛れて部屋を後にする。

能「Aに野菜と魚、食わしたってなー」

一緒に廊下を出て、食事会に向かう彼らに言伝をした能見は、部屋に残る鳥谷を睨んでドアを閉めた。

能「よし、話を聞こか」
鳥「何もないっすよ」
能「ないことないやろ」

火花が飛び始め、唯一残ってしまった上本と大和は天井を見上げた。

大『カギ閉められたー、逃げ遅れたー』
上『ウソやろ…早よ帰りたい…』

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