Happy Everyday 7th.

捕らわれの身by鳥谷&私 ページ32

【鳥谷side】

Aがいきなり叫んだ。
両手を突き上げてるし…テンションマックスだな。
…あぁ、あれか、ワイン飲んだから。

鳥「そんなに近寄ったら危ないぞ」
「大丈夫ですって。鳥谷さんみたいに飲んでないし、柵もあるし」

Aは、目の前に夢中。
俺は、そのAに夢中。

鳥「普段飲まない人が飲んで、そうやって余裕ぶるのが一番危ない」
「グラス半分だけですもん。鳥谷さんは3杯でしょ？」
鳥「違う、5杯」
「一緒ですやん」
鳥「一緒じゃない」

計算すら出来てねぇし、すっげぇふわふわしてる。
危なっかしいけど、すっげぇ可愛いわ。



【Aside】

久々に飲んだワインは、グラス半分。
たったそれだけで、こんなにもふわふわするなんて…。
普通に、ウーロン茶にすればよかったかもしれん。
でも、せっかくの美味しい料理にウーロン茶はないわな。

鳥「酔っぱらって後悔してんのか？」

柵にもたれて、景色を眺めてたら、鳥谷さんがきた。

「違います。潮風が気持ちいいなって思ってただけです」
鳥「分かりやすいウソ」

隣に来るんかなーって思ってんけど、後ろから来たから、柵と鳥谷さんの間にすっぽり収まる。
収まるって言うか、覆われるって言うか…言葉が出てこーへんけど、まぁそんなところ。

鳥「声が大きいし、テンションも高い」

手すりに置いてた手に、鳥谷さんの手が重なった。

「これでも控えめですけど？」
鳥「どこがだよ」

あと、ほっぺもすり寄ってきた。

「んふふ…こちょばいです」
鳥「あ、そう」

鳥谷さんのチョビ髭が、しゅわしゅわってなんねんけど、ちょっと幸せー(笑)。

鳥「もう、外で飲むのはダメだな」
「えぇー、美味しいのに？」

船の上やから風も強くて、コートだけやったらちょっと物足りなかったところに、鳥谷さん。
手も、顔も、身体も引っ付いてて、めっちゃぬくぬくやー。

鳥「Aが可愛くなりすぎて、俺が抑えられなくなるから」
「ぶふっ。何言ってるんですか？じょーだんも…」
鳥「この状況で、冗談言うワケねぇだろ」

ちょっと待っ…あぁ！？
『ぬくぬくやー』って喜んでる場合とちゃうやん！
ココ、めっちゃ大事なとこやんか！
たかがグラス半分のワインを飲んだとはいえ、ここまでの判断力の低下はヤバい！

鳥「頼むから最初から気付いてくれよ」

鳥谷さんは、重ねていた手をいったん外して、すぐに私の手に絡めてきた。
かすれ気味の声が相まって、あっという間に色っぽい空気に私は捕らわれてしまった。

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