Happy Everyday 7th.

俺だって使うしby鳥谷 ページ30

待ち合わせに決めた駅。
改札を通る前に、偶然にもAが横にいた。

鳥「よっ」
「えぇ？！」

だから声を掛けたんだが、ビックリしたらしく、身体が一瞬跳ねた。

「で、電車で来たんですか…？！」
鳥「あぁ」
「マ、マジっすか…。鳥谷さんも、電車使うんですね…」
鳥「遠征で使ってるだろ」
「あれは新幹線ですけど、こういう地下鉄とか私鉄とかっていう意味で」
鳥「あぁ、普通に乗る」
「そういう感じが全然なくてぇぇーっ？！ICカードまで？！」
鳥「便利だからな」

やることなすことに、いちいち反応されても困る。

鳥「てか、俺をからかってるのか？」
「違います！ホンマにそういうイメージがなくて、今歩いてるのもめっちゃビックリしてて…」
鳥「勝手に希少価値を付けるな」

擁護するワケじゃないが、確かに車で動くことの方がはるかに多い。
特に今日みたいな日は、車移動の方がラクだが、あいにく酒を飲む予定がある。
まぁ、こんなことはどうでもよくて、ホントはAの近くにいたいだけ。
運転席と助手席じゃ、決まった間がある。
2人だけの空間を手に入れられる反面、触れられるのは手だけ。

鳥「迷子になったら困る。こっちにおいで」

でも、歩いてたら手も握れるし、変に空けられていた間を詰めることもできる。
何よりも、Aの温かさを直接感じられることが、最大のメリットだ。

「そんなに人多くないですけど…」

だから、人の多さなんて関係ない。
Aだから握る――それだけだ。

鳥「イヤ？」
「イヤじゃないですけど…」

Aの顔は、真っ赤ではないが照れてる。
その証拠に、眼を合わせてくれない。

鳥「じゃあ、何？」
「…う、嬉しいですよね」

やっと答えてくれた声も尻すぼみ。
一言で表すなら、可愛い以外の何ものでもない。

鳥「そうか」

でも、これからが心配だ。
沸き上がってくる欲を保てるかどうか…。



◆◇◆



今までアプローチを掛けてきたが、必ず誰かに邪魔をされ続け…。
そして、今日。
ようやく、2人だけの時間を迎えることができた。
ここに来るまで、結構長かったな…。

鳥「着いた」
「…ココ、ですか？」
鳥「あぁ」

駅から歩いて10分ほどで、最高の時間を楽しむ場所に着いた。

「ホンマに言うてます？ちょっと服がそういう系じゃ…」

なのに、Aは消極的。
ブラウスもスカートも着てるし、靴にもヒールあるし、おかしいトコはどこにもない。

鳥「今日はいつも以上に可愛いんだから、大丈夫。ほら、おいで」

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