Happy Everyday 7th.

保護者の影by鳥谷&私 ページ29

【鳥谷side】

初めてAの素振りを見たが、素人にしてはちゃんとできてるから、特に言うことはなかった。

鳥「はい、終わり」
「えぇ？！もう？！」

まだ振りそうな勢いのAからバットを取り上げて、グローブも俺が強制的に外す。

「あと90回あんのに？」
鳥「…だから、篤史さんに止められるんだろ」

素振りをするたびに、篤史さんに止められると文句を言っていたが…。
そりゃあ、100回もすりゃあ止められるに決まってる。

鳥「血マメ作って、篤史さんに怒られたいなら、やってもいいけど？」
「…やめます。次見つかったら、バット没収なんで」
鳥「賢い選択だ」



【Aside】

バットとグローブは没収されたけど、突っ立ってるだけで鳥谷さんがテーピングを取ってくれた。
しかも、マメの状態まで確認してくれてる。
動きの1つ1つが、ムダにカッコいい。
あぁ、何という至れり尽くせり。

鳥「大丈夫そうだな」

私の手がめっちゃ湿ってるのが、申し訳ないわ。

鳥「週1で10回までなら、やってもいいぞ」

その言葉とともに手を撫でられて、ほんのちょっとだけゾクゾクってなった。

鳥「…もしかして感じた？」

他人からしたら、分からんぐらいのレベルやのに…何でなん？！
てか、その言い方！
わざと色っぽくしてるやん！

「してません！」

私が手を離そうとしても、ぎゅっと握られて、反対にグイッと引き寄せられた。

鳥「これから時間ある？」
「あ、ありますけど…」
鳥「気分転換したいから、付き合って」

そして、見つめられて断れない私…。
これはもう、お決まりのパターンと化してる。
絶対さー、皆さんで共有してるよね？
いっつもこんなんやん。
…全然イヤじゃないけど(笑)。



――ってなワケで、鳥谷さんにいったん家に送ってもらった。

能「へぇー。トリとなんて久々やん」
「今日は能見さんもご飯食べないし、いっかなって思って」

シャワー、着替え、メイクの行程をすべて終わらせて、鏡台の前で見た目の最終チェック。
おかしいトコはないし、バッグの中身もぬかりないし、これでいけるな。

能「トリからメール来たわ、『A借ります』って」
「ホント律儀ですねぇ」
能「律儀とちゃうで、これは宣戦布告やから」

とか言いつつ、能見さんも鳥谷さんに返信してる。

能「めっちゃ嫉妬するけど、まぁ…楽しんでおいで」

私に向けられた顔は、いつも通りの笑顔。
でもやっぱり、4割ぐらいの不機嫌は混ざってる。
何か…出ていくのが気まずいな。

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