キャッチボールby鳥谷 ページ27
Aが来るだろう場所にボールを投げた。
走ってきたとしても、ワンバウンドで捕れる程度の力でしか投げていないし、後ろに逸らしたとしても、防球ネットが張ってあるから、延々と転がることもない。
俺的には、後ろに逸らしてちょっと走って捕りに行くと思っていた。
なのに、Aは…。
――ずざぁぁあっ!――
「と、捕れました!」
何故かヘッドスライディングして、バウンド直前で捕球した。
鳥「…何でその捕り方?」
「だって、落とすから」
落とすも何も、これはただのキャッチボールだし。
ファインプレーと言っちゃあそうだが、アウトカウントが増えるワケでもない。
鳥「試合じゃないんだから、落としてもいいだろ」
「てか、褒めてくれないんですか?こんだけ、アピールしてるのに」
確かに、腹ばいのまま左手を高く上げて、捕ったことを主張してる。
鳥「うん。すごい、すごい」
「めっちゃ棒読みですやん」
それでも喜んでるAは、ようやく腹ばいから立ち上がった。
鳥「ただ、頸やられたら終わりだから、するなら脚からにして」
「はーい。まぁ、これからすることもないと思いますけど…ん?」
だが、Aが急に首を傾げた。
立ち上がりざまに頭を向けた、出入口をずっと見ている。
鳥「どうした?」
「今、誰かいませんでしたか?」
鳥「ん?いいや」
一瞬見遅れたせいもあるかもしれないが、そっちの方向に人影はない。
鳥「オバケじゃないのか?」
「えー、まだお盆じゃないのに?」
ちょっとイヤな顔をするAは、身体を戻してボールを握る。
「どうか、オバケさんじゃありませんよーに!」
その言葉とともに、ボールが山なりに飛んできた。
◆◇◆
見ない間に、Aの肩の力が上がっている。
球威はないものの、10メートルぐらいなら余裕で投げられる感じ。
その理由を聞いたら、どうやら俺が教えた筋トレを毎日続けているらしい。
鳥「飽き性の割には、長いこと続いてるな」
「習慣になったら、どーってことないです」
Aと2人きりになるのは、いつぶりだろうか。
思い出せないぐらい、随分前だったような気がする。
キャンプの時は、篤史さんに全部持っていかれるし。
こっちに帰ってきたら、1ヶ月ファームに行ってるし。
焼肉会の時も、練習終わりの時も、話そうと思えば話せるのに、何故か話さなかった。
結果、自己嫌悪からの八つ当たり…最悪なヤツだな。
「今日の調子はどうですか?」
鳥「上々」
「それは良かったです」
64人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雛@虎ガール(プロフ) - Quintetさん» 照れないで下さい!(笑)はい!期待してます!(笑) (2017年10月10日 19時) (レス) id: 940eb26264 (このIDを非表示/違反報告)
Quintet(プロフ) - 雛@虎ガールさん» いやぁもう照れちゃいます!褒められることがないんで(笑)。ありがとうございます!普段は言わないですけど、「こうご期待!」って言っておきます! (2017年10月10日 19時) (レス) id: 06dcf55897 (このIDを非表示/違反報告)
雛@虎ガール(プロフ) - いつ見てもドキドキの展開…!もうホントQuintetさん最高です!能見さんとのこれからが楽しみです…! (2017年10月9日 22時) (レス) id: 940eb26264 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - またの更新楽しみにしてます (2017年8月27日 14時) (レス) id: 2628ec6391 (このIDを非表示/違反報告)
Quintet(プロフ) - ありがとうございます!心強いです!個人的な願望を入れながら頑張ります!(笑) (2017年8月25日 20時) (レス) id: 2b0fd95d19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Quintet | 作成日時:2017年8月19日 21時