何で俺が行かなあかんねんby藤浪 ページ15
姐さんは、監督と入れ替わるようにして、グラウンドから去った。
先輩らによると、今から哲人さんの取材らしい。
何度も言ってんねんけど、ホンマ、先輩らってストーカーやと思う。
◆◇◆
2人がいる部屋は、グラウンドから一段下がった地下の部屋。
防球フェンス越しの窓から覗けるんやけど…。
今、哲人さんの一方的なハグが展開中。
能「あれは危険やな」
藤「!?」
ビ、ビックリしたぁ!
気配消しすぎやって!
能「ちょっと見てきて。俺、行かれへんから」
◆◇◆
命令されて、あの部屋へ直行。
ドアを開ければ、2人のキスシーン…。
咄嗟に身体が動いて、姐さんを引き剥がした。
藤「哲人さん、それナシっす」
「あ、藤浪くん!」
姐さんは、驚いた顔で俺を見上げる。
藤「姐さん、危ないです」
「え?メイク見せてただけやのに?」
あかん、気付いてへん。
未遂やから良かったものの…呆れるわ。
藤「何でそーなるんすか?」
「だって、すっぴんって言うから」
山「そーやし。メイク見てただけやし」
どこの世の中に、女の顔を抑えて至近距離でメイクをチェックする男がおんねん。
藤「眼、閉じてましたやん」
山「心の中で見てたし」
藤「意味、分かんないっす」
支離滅裂やし、ニヤニヤして下心丸見え。
山「早よ、練習戻りや」
「そうやって!」
そんなん、言われんでも分かっとるわ!
俺だってさっさと戻りたいねんって!
全然関係ないのに、何で…。
藤「うわっ!」
ふと見た窓の外には、ずらっと人が並んでた。
言わんでも分かる、いつものメンバー7人と監督が、哲人さんにメンチ切ってる。
山「お前、いきなり…えぇ?!」
その哲人さんは、俺の声であの人らに気付いて、壁まで一気に下がった。
「ふ、藤浪くん!早く帰らんと!」
でも、姐さんはあの視線が俺に向いてると思ってるらしい。
どー考えても、視線の先がちゃうやろ。
「フルボッコにされるって!」
姐さんはめっちゃプッシュしてきて、必死に俺の身体を揺さぶってくる。
一方の哲人さんは、まだビビってて、いつか壁に食い込みそう。
…これなら帰っても大丈夫やな。
藤「哲人さん、真面目に受けてくださいよ」
山「受けるわ!てか、お前ら、ホンマ怖いな!」
「怖いって何が?」
藤「何でもないっす。じゃあ、戻りまーす」
首をかしげる姐さんと、ビビる哲人さんを置いて、俺は部屋を出た。
◆◇◆
ドアを閉めて、一息吐く。
藤『自分らで行ったらええやん』
あーあ、疲れるわ!
55人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Quintet(プロフ) - ゆかさん» コメント、ありがとうございます。あちゃー、私のルーティンがバレてしまいましたね(笑)。あともう半日、あと数時間を過ごす一息になればと思っています。これからも、よろしくお願いします。 (2016年10月14日 16時) (レス) id: 7f540aaaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 毎日更新されるのが楽しみです! 毎日4時過ぎにこのお話更新されているか見てしまいます。笑 これからの楽しみにしています! (2016年10月12日 15時) (レス) id: c3eab76729 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Quintet | 作成日時:2016年10月4日 15時