試練の予感by今成 ページ29
一度買い物に出たけど、帰ってきてからはずっとAちゃんの隣に居る。
苦しそうな表情もなくなって、呼吸も落ち着いて、汗も出なくなった。
ここまできたら大丈夫だって分かるけど、不安で仕方がない。
今「元気になりますように」
白くて小さい手を握ったら、
「ん…」
Aちゃんの眼が開いた！
俺の思いが通じたみたい！
「今成、さん…？」
抱き締めたいけど、ここは冷静に…。
今「うん、そう」
Aちゃんの顔をちゃんと見たくて、顔に掛かる髪の毛をそっとのける。
「ここは…」
今「俺の家。ちょっとすっきりした？」
「はい…」
今「じゃあ、熱、測ろっか」
新しく買った体温計をAちゃんの口に入れると、10も数えない内に音が鳴った。
――37度2分。
だいぶ下がってる！
「ところで、今何時ですか？」
今「えっと…夜の6時過ぎ」
「えぇ？！」
今までのか弱さは何処へやら…。
Aちゃんが、飛び起きた。
「私、帰らないと…！」
今「ダメダメ！動いたらぶり返す！」
Aちゃんの両肩を抑えて、俺もベッドに腰掛ける。
今「今日は、ここに泊ってゆっくりしなさい」
「でも、明日試合ですよね？！邪魔するわけにはいきません」
はーっ！
倒れてる自分そっちのけで、俺の心配って…。
どれだけ優しい娘なんだよ。
「7度2分ぐらいなら、自分で…ふぅ…」
しかも、体力を根こそぎ奪われてるから、息が続いてない。
今「ほら、ちょっと話しただけで、息切れしてるじゃん」
「これは…」
今「言い訳しない」
Aちゃんの背中にクッションを置いた。
身体をもたれさせて、ラクさせる。
そして、買ったメイク落としシートを渡すと、Aちゃんの眼が見開いた。
「ちょ…」
今「汗でぐちゃぐちゃになるよりマシでしょ。パンダ目のAちゃんは、見たくないなー」
今「うぅ…サングラスは？」
「ないよ」
今「ファッショナブル今成さんなら、1コぐらい持ってるんじゃ…」
「だから、ないよ」
そりゃあ、俺はファッショナブルだから(笑)。
いくつでも持ってるけど、渡すワケないじゃん。
「はぁ…じゃあ、仕方ないので…」
Aちゃんは、渋々シートを取った。
その間に、俺は着替えと濡らしたタオルを、Aちゃんの届く範囲に置く。
今「終わったら呼んで」
部屋を出ようとすると、手を握られて引き止められた。
「何処に行くんですか？」
今「隣の部屋。どうしたの？」
「あ、あの…
傍にいてくれませんか？」
俺の心臓は飛び上がった。
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Quintet(プロフ) - ゆかさん» コメント、ありがとうございます。あちゃー、私のルーティンがバレてしまいましたね(笑)。あともう半日、あと数時間を過ごす一息になればと思っています。これからも、よろしくお願いします。 (2016年10月14日 16時) (
レス) id: 7f540aaaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 毎日更新されるのが楽しみです！ 毎日4時過ぎにこのお話更新されているか見てしまいます。笑 これからの楽しみにしています！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: c3eab76729 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Quintet | 作成日時：2016年10月4日 15時
