Happy Everyday

もっと警戒心を持てby鳥谷 ページ7

「今のセクハラですか？」

どう考えても、あれはそうだろ。

鳥「ああ」
西「トリさん、あれは大阪人のスキンシップです！」
鳥「ウソつけ」

剛の顔がニヤついてる、下心丸見え。
なのに、あの娘は違った。


「でも、胸揉まれてませんし、お尻も触られてませんよ？」


鳥「はぁ？」

開いた口が塞がらない。

西「っははー！ええ娘やなぁ！」

剛はまたあの娘を寄せて、頭を雑に撫でる。

「西岡さんとのハグを嫌がるなんて、もったいないじゃないですか！」

両手に拳を握り、俺に向かって主張してる。
すがすがしいほど、警戒心ナシだ。



時計を見れば、もう日を回っている。

鳥「君、どう帰るの？」
「あ…」

時計を見たあの娘の表情は変わらない。

「電車の終電もないんで、タクシーで帰…」
西「俺が送ったるわ！」」

ここぞとばかりに、剛が被せてきた。
未だにあの娘をホールドして、ホントに持ち帰りそうな勢いだ。

鳥「お前だとロクなことにならない。俺が送る」

剛からあの娘を離して、俺の隣に立たせた。

西「トリさん、それ、横取り！」
鳥「何言ってるんだか。ほら、行くぞ」

あの娘を連れて、部屋を出た。



着替えてから駐車場に行って、あの娘を助手席に乗せた。
道の案内をする以外、あの娘は言葉を発しない。
運転の合間にあの娘を見ると、やっぱり微笑んでる。

鳥「そうやって、いつも笑ってるのか？」
「人見知りなので」
鳥「ウソだろ？剛とあんだけ騒いでて、よくそんなコトが言えるな」
鳥「でも、人見知りなんです！自分から喋るのは苦手なんです！」

さらさら信じる気のない俺を、何とか説得させようと必死になる。
面白くて、つい笑ってしまう。



あっと言う間に、あの娘の家についた。

「わざわざ送っていただいてありがとうございます」
鳥「送るぐらい大したことじゃない。独りで帰って、事件に巻き込まれる方が大変だ」
「顔もスタイルも良くないですし、その可能性は低いですよ？」
鳥「そういう問題じゃない」
「そうですかね？まぁ、そう思っときます。今日はありがとうございました」

あの娘が出ようとしたのを、手を掴んで止めていた。

「ん？どうしたんですか？」

表情には、不思議と微笑みが混ざってる。

鳥「…君のこと、Aって呼んでいいか？」
「もちろんですよ」
鳥「そうか。…おやすみ、A」
「はい。おやすみなさい、鳥谷さん」

彼女の見送りを受け、アクセルを踏んだ。



俺は、すっかり彼女に一目惚れしてしまった。

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