Happy Everyday

甘えてしまうby能見 ページ37

能「なぁ、今日行ってええ？」

俺は、いつも当日に聞く。
前もって約束したらええねんけど、案外会われへん。
連絡先聞いたらもう一発やけど、それはそれで何かちゃう。

「取材の内容によりけりですね」

いつもはすぐにオッケー出してくれるのに、今は愛想笑いで仕事対応や。

能「じゃあ、期待しといてな」



◆◇◆



取材が終わって、見守ってたAと一緒に部屋を出た。

能「で、答えは？」
「ん？何の？」
能「さっき言ったやん。ご飯の話！」
「あぁ。もちろん、オッケーですよ」

いやー、この一瞬で忘れ去られたかと思ったわ。
ひやひやさせんといてよ。

「では、また後で会いましょうね」

仕事モードのAは、愛想笑いと会釈して、離れていった。

能「サバサバしてんなぁ」

ま、そーゆーところも好きやけど。



◆◇◆



いつもの場所で待ち合わせして、いつものスーパーに行って、晩ご飯の材料を買う。

「豚ロース安い！」
能「ジャンボパックやで？」
「冷凍するんです！」

俺は夫婦気分やけど、Aはちっとも思ってないんやろうな。

能「トンカツがいい」
「じゃあ、おろしポン酢で、野菜多めにしましょうね」

直接言わんけど、身体のことを考えてメニューを決めてくれる。
優しい娘やな。

能「A、ありがと」
「はい？」

は？今の聞き逃したんか…。

「周りが煩くて聞こえなかったんですけど、何か言いましたか？」
能「…何もない」

BGM、恨めしや。



◆◇◆



野菜中心のトンカツ定食。
めっちゃ美味い。

「トンカツは、控えてくださいね」
能「これぐらい、余裕で消費できるし」
「そうじゃないです。食べ過ぎると、胃がもたれますよ」

そっちかー。
でも俺、まだ揚げ物いける方やし。

能「そんな歳とちゃうわ」
「近いうちに来ちゃいますよ？」

Aが、悪い笑いをする。
自分ん家やから、素が出てくる。
めっちゃ、おもろいわ。

「そういえば、ずっと思ってたことがあるんですけど…」
「何や？」

Aは、箸を置いて改まった。
そんなに真剣な話なんか？

「何で、毎週来るんですか？」

ようやくその質問が来たか。

能「迷惑？」
「大歓迎ですけど、理由が分からなくて…」

でも、俺は答えてやらへん。

能「自分で考えてみ」
「もーいいです。諦めます」
能「早いわ。もうちょっと考えてや」
「嫌です。頭痛しますもん」
能「…あ、そう」

こうやって口実作ってんのに…。
いつになったら、俺の気持ちに気付いてくれるんやろな。

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