Happy Everyday

鬼とパピーとわんこby私 ページ30

夕方。
監督とゴメスさんと通訳さんと4人で、監督お勧めのお店でご飯を食べた。
結局、私が呼ばれたのは、上本さんのお泊りについて聞きたかったらしい。
…ええ、それだけのために広島出張ですよ。
さすが監督、鬼やわー。
帰って来てからでも、良かったんとちゃいます？



ご飯が終わって、夜風に当たりながら、4人でホテルに帰ってきた。
私も球団関係者ってことで、選手と一緒のホテルに宿泊。
もちろん、階は違うけどね。
ホールで、エレベーターを待ってると…。

ゴ「A！」


――どんっ――


「ぐあっ…」

呼ばれた瞬間、身体がふっ飛んで、エレベーターのドアにぶつかった。
めっちゃ…痛い！

監「パピー、Aにやったらいかんわ」

監督が私を指して、めっちゃ笑ってる。
そうですよ。
ほろ酔いでテンションの高いゴメスさんが、ヒップアタックしてきたんですよ。
そんな巨体でされたら、吹っ飛ぶに決まってるやろ！
私、今成さんじゃないんですけど！

ゴ「A、ワンモア！」
「えぇ？！」


――どんっ！！――


「ぐあっ…」

あかん、吹っ飛ぶ！
おばあさん、よろよろや…。
通訳さんに支えられて立てたけど、監督とゴメスさんは笑ってるだけ。
何てヤツらだ！



ようやく、エレベーターが到着。
乗ろうと思った瞬間、視界が真っ暗になった。

「だーれだ！」
「えぇ？！」
監「先行くからなー」
「Dulces suenos！」

暗いまま、声だけが聞こえる。
…とりあえず、置いて行かれた。
ホンマ、何てヤツらだ！

「誰か分かります？姐さん」
「分かった！横田くんでしょ？」
横「あたりー♪」

手が離されると、目の前には梅野くん。

「あれ？」
横「俺は後ろですよ」

振り返れば、横田くんが出現。

梅「姐さん、来てたんすか？！」
「まあね。明日には帰るけど」
横「試合は見てくれないんすか？」
「うん、ごめんね」

嬉々としてたのが、一気にしょぼーん。
ホンマ、わんこやわ。
一緒にエレベーターに乗って、ボタンを押す。

横「今度の休み、姐さん家でご飯食べさせてください」
梅「急すぎるわ！」

ホンマ、それ。
横田くんって絶対、思ったことを口に出すタイプや。

「はぁ。構いませんけど」
横「やったー！」
梅「いいんですか？」

公私ともに女房役の梅野くん、大変やね…。

「だって拒否権ないし。人の話、聞かへんやん」
梅「あぁ…そうっすね…」



週明け月曜日。
この約束は無事に果たされることになり、私はまた、大学に休みの連絡を入れました。

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