Happy Everyday

着替えてよ！by上本 ページ22

試合が終わって引き上げる途中。
Aちゃんが出迎えてくれた。
ハイタッチをして、今日の勝利を分かち合う。

上「じゃあ、あとで」
「はい」

みんなに聞こえんように、約束の確認。
このあと、Aちゃんと晩ごはんを食べる。
明後日からビジターじゃけぇ、少しでも顔を見ときたいんじゃ。



◆◇◆



能「いつもの店でええやんな？」
大「あそこが一番落ち着きますしね」
今「じゃあ、7人で予約しまーす」

今日もまた、恒例の飲みがある。
Aちゃんが来てから、頻繁にやるようになった。
まぁ、情報共有っていう名のライバルけん制じゃのぉ。

上「先約があるんで、今回はパスします」

荷物をまとめて担ぐと、あの人らがわしを睨んどった。
はっきり言うて、眼が怖い。

西「何、隠してんの？」
上「隠してませんよ。じゃ、失礼します」

相手をしとったら、時間がのうなる。
わしから切り上げて、部屋を出た。



◆◇◆



待ち合わせした部屋に行ったんじゃが、ドアが開けっぱなしじゃった。
ちいと覗いてみたが、人の気配がせん。

上「Aちゃーん？」
「ちょっと待ってください！」

…あ、おった。
こがいにオープンにしとんのに、よう気配を消せるなぁ…。
出てくるまで壁にもたれとったら…


「きゃぁああああ！！」


Aちゃんの悲鳴が聞こえた。
荷物を投げ捨てて、部屋に駆け込んだ。

上「どうしたん――っ？！」


――ばふっ――


…と同時に、Aちゃんが抱きついてきた。

上「ちょ…し、下着！」

…だが、下着。
まぎれものう、下着オンリー。
おいおい！
ドア開けっなげで、着替えとったんか？！

「それよりも！あ、あそこ…！」

それよりもって…。
先に何かを羽織ってくれよ…。

「上本さん、あそこです！」

Aちゃんが指差す方向にゃあ、黒いカサカサとしたヤツ。

「お願いです！退治してください！」

そがいな格好で、そがいな顔で…見んでくれ。

上「わ、分かったから…離れてくれる？」

わしの視界に入れんように、Aちゃんを後ろに行かせた。

上「ちゃんと服着といてよ？」
「分かりましたから、早く…！」

Aちゃんの声に危機が迫っとる。
無視しとったらええだけの話なんじゃが、そがいなワケにもいかんで…。
俗に言う“G”を見定めて、靴底で一発で仕留める。
ほいで、ティッシュに包んで最後の一握りで絶命させてからの、ゴミ箱へ。

上「はい。終わった…」

振り返ったら、Aちゃんは、まだ下着じゃった。

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