【ハイキュー】ability war (ページ16)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:31,767 hit

ＢＡＴＴＬＥ１４ページ16

～及川side～

「行くぞ！」

澤村くんが刀を持って飛び出す。

が、一方の黒尾くんは全く動かず、笑みを浮かべている。

そんな黒尾くんにむけて澤村くんは刀を降り下ろした。

しかし、

「何っ!?」

黒尾くんは澤村くんの刀を片手で掴み、

「知ってたか？敵でも俺らは『未成年』なんだぜ。」

.

ｸﾞﾆｬﾘ

.

「俺らは、能力者を捕まえる為にいる能力者だ。」

俺らの前で、

刀を曲げた。

「さて……始めましての人も沢山いるし、一応自己紹介しとくか。

俺の名前は黒尾鉄朗。音駒高校バレー部の主将で、

今は政府能力者撲滅課の責任者だ。」

誰かが息を飲む音が聞こえる。

「あと、俺の能力は、『鉄を司る者』。鉄で出来たものに触れることで形を変えたりできる。

……そう。」

黒尾くんはポケットから銀色に煌めく塊を出し、頭上にかかげた。

「例えばこんなこととか、な。」

途端、

銀色の塊が動いた。

銀色の切っ先が澤村くんを捉え、

目の前まで迫ってきた。

「主将(キャプテン)！」

「澤村っ！」

目の前にいる黒尾くんはもう勝った気でいるのだろうか。

だけど、黒尾くんは見逃していることがある。

それは、

.

ｶｷｨﾝ

.

「悪ぃけど、相手は澤村だけじゃねーからな。」

澤村くんの半径三メートル以内に左目を紫色に染めた岩ちゃんがいることだ。

「岩泉！」

「あらら。他の皆さんはビビって来ないのかと思ってましたよ。」

……こいつ二口に似てる。

「すまん岩泉。」

「気にするな。」

そう言うと澤村くんはちらっと俺を見る。

『援護頼む。』

彼の唇がそう動いた。

「行くぞ、黒尾。」

再度澤村くんが手にしたのは、

眩しく輝いている剣。

「おいおい流石にダイヤモンドは反則なんじゃねーか？」

「……行くぞ！」

その澤村くんの声を引き金に、それぞれのチームが地面を蹴る。

「誰か岩ちゃん以外に防御使える人！守りついてくれない!?」

……流石に聞こえないか。

「仕方がないっすね。めっちゃ不本意ですけど、手伝いますよ。なっ、青根？」

「……。」

「……ありがと。俺も不本意だけど。じゃ、有難く使わせてもらうよ。」

――『目を欺く者』――

さぁ、

「いくよっ！」

俺の言葉に、

空気が揺らいだ。