6-ポッキーside- ページ6
_
遅い。
時刻はもう17:30
Aちゃんから連絡が来たのが17時ちょうどだったけど…、駅まで30分もかかるっけ。
仕事押してるの？
でもそれだったら連絡が来るはず。
夕方になるとまたさらに肌寒さが増す。
待ち合わせ時間に合わせて撮影と編集を終わらせて今日はアップロードの予約までしてある。
我ながらベタ惚れだと思う。
彼女の仕草ひとつひとつをいちいち抱きしめたい。
『…何やってるんだろ』
それにしてもおかしい。
連絡はマメな子のはずだし、そもそも電話が繋がらない。
『事務所で待てばいいか…』
俺は事務所までのルートを早足で歩き出した。
事務所までの道は大通りを抜けるより裏道を行くほうが早い。
街灯が少なくて人通りもないけど、早く着くからAちゃんも通ってる、はず。
なにかあった？
事故とか？
まさか、撮影が押してるんだよ。
自問自答を繰り返しながら歩くけどなかなかAちゃんの姿は見えない。
こういう時、みんなならどうする？
これがゲームの中だったらそう聞いてるなあ。
俺なら探しに行く！って言ってそうだなあ。
「や、…だれっ？！」
聞き慣れた愛しい彼女の声。
『Aちゃん？』
「は、ポッキー…くんっ」
薄暗い夜道のやっと顔が見えるくらいの距離にAちゃんが近づいてくる。
『遅かったね？大丈夫？』
駆け寄って顔を覗き込むと涙を目にためている。
『え？』
「…ごめ、…っ」
『ど、どうしたの？！仕事しんどかった？』
Aちゃんは首を振るだけ。
「っ、はやく、行こっ、駅…！」
そう言って俺のことをグイグイ押す。
『待って待って、どうしたの？』
訳が分からず歩きながらもう一度そう問いかけるとAちゃんは涙を堪えながら少しずつ話してくれた。
「…ストーカー…だと思うの…。握手会で…変なこと言って来て…たぶん、家もバレてるし…DMでも変なことばっかり送られて来て…。それで、今、ポッキーくんに会う前に…待ち伏せされてたの」
背筋が凍った。
『…誰に？』
「わかんない…」
もう限界だったのだろう。
声を殺しながらAちゃんは静かに涙をこぼす。
そんな彼女の肩を抱くことしかできなかった。
こんな事になるなんて、予想もしていなかった。
相手はAちゃんのファンで俺のアンチだろう。
これ以上何かあったら…。
そう考えるだけで恐ろしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
靴下模様の猫 - めっちゃ次が気になる！頑張ってください！ (2018年11月24日 18時) (
レス) id: 5a4b249745 (このIDを非表示/違反報告)
さきこ - 更新って今出来なさそうですか？ (2018年4月4日 0時) (レス) id: 36400d4c3c (このIDを非表示/違反報告)
ぴよP - ポキ信者の心をつかむなんて。。ﾌﾞﾜｧｯ(TдT )泣 (2018年3月9日 0時) (レス) id: 5a6646d35b (このIDを非表示/違反報告)
mikan - とっても面白いですね！これからも頑張ってください！ (2018年1月3日 20時) (レス) id: 46f7de4b16 (このIDを非表示/違反報告)
mikan - はじめしゃちょーを思い出しますね。ストーカーって。 (2018年1月3日 20時) (レス) id: 46f7de4b16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あゆ | 作成日時：2017年10月23日 20時
