北の海の魔女短編＆番外編Ⅱ 【ONE PIECE】 (ページ22)

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「もう放っておいてやれ！あいつは自由だ！」

ロシナンテがそう叫ぶと、ドフラミンゴの手が、引き金を引くー。

『《死神の囁き(パーマフロスト)》...ッ、ぅ...！』

ロシナンテが死を覚悟した時、聞こえてきたのは、知らない声と呻き声。

『クソ、一発貰ったか...痛いなぁもう...。』

目を開けると、一瞬フラつき、肩を押さえる人影と、まるで時間が止まったかのように動かないファミリー。
人影が振り返る。知らない女だった。

「だ、誰だ...何故...俺を助けた...。」

『その、後ろにいるクソガキが、勝手に私に記憶を流し込んできたのよ。ったく、胸糞悪いもん見せんなっての。』

「記憶...何言って...ぅ...。」

『はいはい、今治したげるから。《逆行する潮流(リバース・ワールド)》』

女が手を翳し何か言う、体がみるみる治っていく。

『時間遡行魔法。怪我をする前の状態まで時間を巻き戻したの。んで、あっちの悪人は時間停止中。早くそこのガキ連れて逃げな。時間停止魔法は長くはもたない。』

女は面倒くさそうにそう言うと、手をひらひらと振った。

「ありがとう...！なんてお礼を言っていいか...！」

『礼はいい。そこのガキを死ぬまで愛してやることね。』

ロシナンテは、宝箱から少年を取り出し、泣き喚くその子を抱えて走っていった。

『はぁ、人助けなんて反吐が出るわ。』

◆◆◆

10数年後。とある島に寄港中のポーラータング号。

『いやぁ、天気がいい！気持ちいいね～。』

隣で伸びをするこの女、A。
コイツは、俺のことに全く気付かずに、航海に同行している。

『シャチとベポは、こんな日に船番とは可哀想だな。あとでアイスでも持って行ってやろう。氷魔法で温度キープ出来ちゃうもんね。うーん、天才か私は。』

海中に沈んでいくコイツを助けて、その正体を聞いた時には、とても驚いた。
...コイツは、俺のことが分からないようだったが。

ロー「...A、会わせたい人がいる。」

不思議そうな顔を浮かべるAの手を引き、連れてきたのは、この島の宿屋。

『ねぇ、誰なの？ご両親とか？...まさか、恋びー』

それに、あの時とは全然、性格も違う。
俺は本当にコイツがあの時の恩人なのか半信半疑だったが、コラさんが間違いないと言う。
俺はあの時、コイツの姿は見てねぇ。声を聞いていただけだ。

ロー「俺には、どっちもいねぇ。...が、大事な家族だ。」

今日、コラさんが、それを確かめてくれるという。