↓ ページ20
「イタリアで暮らす？お父さんと？」
冗談も顔と性格だけにしてよと理絵は椅子から立ち上がる。
「冗談じゃない。本気だ」
家光の目には偽りがなかった。
「私、必死に勉強してやっと高校に入学できたんだよ。それに友達だっている」
「お父さんは簡単に言ってくれるけど、私夢を叶えるために頑張ってるんだ」
理絵は少し低いトーンで家光に話す。
「それも分かっている。だがな理絵。お前はボンゴレ10代目の妹なんだ」
言いたい事はわかるな？と家光は続ける。
「お前はいいかもしれないが、常に命を狙われているんだ。しかも"妹"だから人質にとられる可能性だって少なくない」
確かに理絵は骸と戦うとき、ツナをおびき寄せる人質とされていた。家光はそんな理絵を自分の見える範囲に置いておこうと考えたのだ。
「父さん…私は自分が嫌いなんだ。自分を守れない私が。守られてばかりの私が…だから私はお兄ちゃんから離れて、今度は私がヒーローになるの」
目にうっすらと涙を浮かべ、強気に話す理絵に対して家光は表情ひとつ変えずに話を聞いていた。
「理絵の気持ちはよくわかるんだ。でもお前だって周りの人を巻き込みたくないだろ？」
「だから強くなるんだよ！なんで分かってくれないの！？」
理絵は家光を涙目でキッと睨む。
「理絵。お父さんはな、お前の将来を思って言っているんだ」
ーーーーーーーーーーーーー
そして冒頭に戻ってきたわけだ。
「父さんはずっと家族の事なんか放置してたから私の気持ちなんてわかりっこないんだよ！父さんなんか死んでしまえよ！」
ハッ！と理絵は自分が言ってしまった事に後悔をし、目の前にいる家光の顔を見る。
「そうか。じゃあお前はこの家から出ていけ」
生まれてはじめて父親に怒られ、しかもその言葉が甘ったれた言葉ではなく"出ていけ"と言うたったの4文字。
「っ………お世話になりました…！」
理絵は玄関に置いてあったリュックをとり、家を飛び出して行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：脳内お花畑少女 | 作成日時：2017年5月11日 20時
