episode1 赤頭巾8 ページ8
「……え」
思わず、両手に持った鉄の刃と鉄の棒を落としてしまった。
「な……ん……で」
ガクガクと手足が震えた。
目からは溢れる涙、涙、涙。
まるで、胸に大きな穴があけられたようなこの感じ、嫌だ。気持ち悪い。
「意味わからない……」
なんで…………血が全く出ていないの。
なんで……………。オオカミが端っこでうずくまって泣いているのよ。
「なんで……」
――――なんで男と母が抱きしめあっているのよ。
「オオカミ！！！」
私は自分でも信じられないほどの大声が出た。
オオカミはそれに対してビクッと体を反応させる。
「なぜ食わなかった！？」
さすがに、その大声で男がこちらを向く。
無精ひげに、ボサボサにのびた髪の毛。
汚らしい顔ね。
最初に男を見た感想は、それだった。
「……この婆のお嬢ちゃんか？なかなか可愛いじゃねえか」
男は抱きしめていた母を突き放し、私の方へと向かってくる。
いやだ、向かってくるな。お前ごときが、私に近づくな。
「お前の母ちゃん、なかなか金を持っているんだぜ？いつも生活助けてもらってるから感謝してるぜ……まあ、貰った金は大体女につかっちまうんだけどなぁ」
ゲラゲラと下品に笑う男。母はもっと抱きしめてくれ、と言いたげな目で男を見ている。
なぜ、こんな状況になってまで貴方の瞳はこの男の方へ向けられているの？
こんな男を見て、自分のやっていることが寂しい事だと思えないの？
「まあ、お嬢ちゃんも可愛いんだしよ、将来有望だぞ？なんなら俺が今からその時のために訓練してやろうか？もちろん、拒否権はねえぞ？」
男に対する怒りと殺意がじわじわと心の奥底で湧いてくる。
なにが、将来有望だ。私の母を弄んでいたくせに。
私は、腕に持っていたナイフを後ろのスカートのポケットに隠し、男に笑顔を向けた。
「お兄さん、私と遊んでくれるの？」
「……ほう、なかなか物わかりのいい嬢ちゃんだな。ここはそこにいる婆とそっくりだ」
男が私の脇のあたりを掴んで高い高いをする。
その瞬間――――
隠し持っていたナイフを、男の頭に思い切り刺した。
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鴨婿(プロフ) - 大丈夫ですよ。続きの方楽しみに待っています！ あと失礼だと思いますが――その文才うちにも分けてください OTL (2015年8月1日 22時) (
レス) id: 4b1fe03e9f (このIDを非表示/違反報告)
小豆川(プロフ) - 鴨婿さん» すいません、誤字でした( ;∀;) 最近誤字が多いので、気を付けたいです((+_+)) 誤字確認ありがとうございました！ (2015年8月1日 21時) (レス) id: 35d8d379c2 (このIDを非表示/違反報告)
鴨婿(プロフ) - 思ったのですが、ヘンゼルとグレーテルの22話。「招待」が「正体」になってますよ？ (2015年8月1日 21時) (レス) id: 4b1fe03e9f (このIDを非表示/違反報告)
小豆川(プロフ) - 緑茶さん» コメントありがとうございます！私的には今までこの物語を書いてきて、次の話から「展開の盛り上げ」が大きくなっていきます。本当の「狂気」童話は次の話からです(/・ω・)/キャラをたくさん活躍させていきたいです！コメントありがとうございました！ (2015年8月1日 20時) (レス) id: 35d8d379c2 (このIDを非表示/違反報告)
緑茶(プロフ) - ハンス！？どうなっちゃうの！？はじめまして！緑茶です。いつも次回の展開を想像しながら見ています！！毎度毎度ストーリーに目が離せなくて物語にどんどん引き込まれていきます！！作者さん、すごく小説かくの上手なのでこれからも頑張ってください！ (2015年8月1日 20時) (レス) id: 8df022a000 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆川 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/112121/
作成日時：2015年4月22日 21時
