episode1 赤頭巾6 ページ6
「……え？」
オオカミは困惑したような表情になった。
何よその顔は。貴方がお腹が空いているのだから、食べさせてあげると言っているのに。
「お、お母さんって、君のお母さん？」
「それ以外、なにがあるのよ」
なんだ、そんなことに困惑しているのか。まったく情けないオオカミね。
フゥとため息をついてオオカミの方を見る。
「なにか不満でもあるの？」
「だって！！君のお母さんなんでしょ！？おかしいよそんなの！！」
「なにが？」
「お母さんを食べていいよだなんて、酷いよ！」
オオカミは開いた瞳でそう叫ぶ。その叫び声で、周りの空気がビリッと揺れた。
そうだ、このオオカミはお母さんが猟師で捕まったのだった。
でも、それだけ？
それだけで、私のお母さんを食わないと言うの？
「……どの口が言っているの？」
「だって……」
「少なくとも、貴方のお母さんやお父さんは人を食べていたはず。その食べた人の中には、誰かの子供や親や友達……いろんな人がいたはずよ」
「…………」
オオカミなにも言い返せない、というような様子で俯く。
「それは悪い事じゃないわ。だって、それは貴方たちが生きるために仕方が無い事だもの」
私はそんなオオカミをふわりと包み込むように優しく抱きしめた。
プルプルと小刻みに震えている姿か少し可愛いと思った。
「それなのに」
私はオオカミの肩を少し強くつかんだ。
「貴方は食べても良いと言っている人間を食べようとしない。なぜなら、それは私のお母さんだから」
「…………」
「それはね、優しさでは無くて『偽善』というの。上っ面だけの、甘いだけのね」
私はパッとオオカミを突き放した。
二歩か三歩後ろに進んで立ち止まり、オオカミはまだ下を向いている。
その時、オオカミの心をくすぐりそうな冷たい風がひゅう、とふいてきた。
「どうする？」
とどめを刺すようにオオカミにそう言うと、オオカミは「わかったよ」と一言いった。
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鴨婿(プロフ) - 大丈夫ですよ。続きの方楽しみに待っています！ あと失礼だと思いますが――その文才うちにも分けてください OTL (2015年8月1日 22時) (
レス) id: 4b1fe03e9f (このIDを非表示/違反報告)
小豆川(プロフ) - 鴨婿さん» すいません、誤字でした( ;∀;) 最近誤字が多いので、気を付けたいです((+_+)) 誤字確認ありがとうございました！ (2015年8月1日 21時) (レス) id: 35d8d379c2 (このIDを非表示/違反報告)
鴨婿(プロフ) - 思ったのですが、ヘンゼルとグレーテルの22話。「招待」が「正体」になってますよ？ (2015年8月1日 21時) (レス) id: 4b1fe03e9f (このIDを非表示/違反報告)
小豆川(プロフ) - 緑茶さん» コメントありがとうございます！私的には今までこの物語を書いてきて、次の話から「展開の盛り上げ」が大きくなっていきます。本当の「狂気」童話は次の話からです(/・ω・)/キャラをたくさん活躍させていきたいです！コメントありがとうございました！ (2015年8月1日 20時) (レス) id: 35d8d379c2 (このIDを非表示/違反報告)
緑茶(プロフ) - ハンス！？どうなっちゃうの！？はじめまして！緑茶です。いつも次回の展開を想像しながら見ています！！毎度毎度ストーリーに目が離せなくて物語にどんどん引き込まれていきます！！作者さん、すごく小説かくの上手なのでこれからも頑張ってください！ (2015年8月1日 20時) (レス) id: 8df022a000 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆川 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/112121/
作成日時：2015年4月22日 21時
