episode4 眠り姫2 ページ10
赤いマントを被った魔女はふむふむ、と声を出しながら私の話を聞いている。
あのお菓子の家の魔女に出会った時は魔女は皆変な奴ばかりなのだろうか、と思っていたがこの魔女は案外普通の少女なのだろうか。
話すのに少し疲れて私はまた一口水を飲んだ。
「貴方はなぜあの子を殺そうと思ったの？」
少しの沈黙が続いた後、魔女は身を少し乗り出して言う。
「そりゃ、あの子のお腹は本当な真っ黒なのにあんなにも美しくて愛されるからよ。それが嫌で殺そうとしちゃった。まあ、まさかオオカミを乗っ取られるのは予想外だったけど」
「お腹が真っ黒だなんて怖いな」
「……もののたとえよ。本当に黒い訳ないでしょ」
じゃあどういう事だ？と聞いてくる魔女。この子はたとえがつたわらないのだろうか。面倒くさいのでここで話を終わらせた。
「それで、本題に移るわ」
すると、サッと魔女の表情が変わる。これが仕事の時の表情なのね、と感心してしまった。
そして私は魔女に依頼を話し始めた。
「今回の依頼は―――」
話している時の魔女の顔は、なんだが笑っているような気がした。
××××
目が覚めると、俺はまた光りの壁の中にいた。
俺は、どうなったんだ？
そう思い立ち上がるとズキンと頭が鋭い痛みに襲われた。
痛みと同時に朦朧としてくる意識をなんとか保とうとして手を握ったり開いたりする。
「起きたのね」
聞き覚えのある声に俺は思わず顔を上げた。
そこにはマントを着て微笑んでいる白雪様。
しかし――なぜだろうか、その微笑みを見て胸がざわつくのは。
「白雪様……？」
「どうしたのハンス？」
白雪様はなにもないようにまた微笑みながら答える。
俺はその瞬間鳥肌が立った。
――その微笑みは、初めてあの赤頭巾にあった時の微笑みの表情と重なったからだ。
「お前……誰だ」
俺は思わずそう言ってしまった。
たらりと額から嫌な汗が出てくる。
すると白雪様はしばらく目を丸くしてぷっ、と吹き出し、
「やあねえハンス、白雪に決まっているじゃない。おかしいの」
そうクスクスと笑いながら言った。
本当にこの人は白雪様なのか。
本当にこの人はいつも笑顔でいる心の優しい美しい白雪様なのだろうか。
見た目は白雪様と全く一緒だが、俺はそんな疑問を抱いてしまった。
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弥生2nd(プロフ) - 更新待ってます！狂気系が大好きなのでとても面白かったです！ (2020年4月12日 16時) (
レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 読ませていただきました。更新を待っています。永遠に… (2018年4月7日 1時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
狂桜花 - 一番最初から読ませていただきました(*^^*)物凄く緊張感があって背中がゾクゾクしました(笑)最終回楽しみにしています！更新頑張って下さい！あと『償いアリス』に一票です！ (2015年12月12日 9時) (レス) id: afbc5a8e6c (このIDを非表示/違反報告)
子狐。 - 償いアリスに一票です。最終回楽しみにしています。 (2015年10月20日 16時) (レス) id: 2b9fb3470a (このIDを非表示/違反報告)
真庭朱雀(プロフ) - 『償いアリス』に一票です！理由は今回の狂気童話で小豆川さんの書くホラーのファンになってもっと読みたいと思ったからです！最終回楽しみにしてます！ (2015年10月12日 19時) (携帯から) (レス) id: 9a9ad35bf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆川 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/112121/
作成日時：2015年8月1日 21時
