最終章 シンデレラ12 ページ34
「……！ 返事を考えてくれたのですか？」
そう目を開いたカールに向かって私はにっこりと笑いこう言った。
「ええ、ぜひ、私と踊ってください」
そう言うとカールはさらに目を見開きとたんに笑顔になった。
私が言い伝えを知っているというという事をカールは知っている。つまり、これは「結婚してもいいわよ」ととらえてもおかしくない。自分でいうのもなんだが、私に惚れているカールにとってはこのうえ嬉しい事だろう。
「いいのですか？」
「貴方でないと、嫌です」
ああ、ああ、ごめんなさいハンス。こんなどうでも良い奴にこんなセリフを言ってしまって。本当は貴方に言いたかった。
少しだけ胸が痛くなった。そんなことを考えているのを悟られないよう、私は笑顔でカールにこう言った。
「カール、少しだけしゃがんでほしいの」
「え？」
「お願い」
カールが少ししゃがんだら、私はカールの頬に口づけをした。
カールは少し目をぱちくりとまばたきさせ、なにをされたのかわかったのか、しだいに顔が赤く染まっていった。
「あの……」
「ふふふ、ごめんね。嫌だったかしら?」
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い！！そんな目で私を見るな下衆が！
カールの純粋な目でさえ、私は不快に思ってしまう。
仕方ないのだ。これは母に復讐をするための道しるべなのだから。
そう自分に言い聞かせても、この行為に対する不快さがどうしてもこみあげてきていた。
「い、いえ。嫌では無いです」
「ならよかったわ」
ここだ。ここからが一番大切だ。
私は立ち去ろうとする振りをして「あっ」と何かを言い忘れていたのかのように呟く。
決して、演技だと思われないよう自然に。
「どうしたのですか?」
予想通りの返事が返ってきてなんとなく安心する。安心したといっても、こうなる事はわかっていたけれど。
私は首だけ振り返ってカールにこう言った。
「そのダンスパーティーに、招待したい人がいるの」
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弥生2nd(プロフ) - 更新待ってます！狂気系が大好きなのでとても面白かったです！ (2020年4月12日 16時) (
レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 読ませていただきました。更新を待っています。永遠に… (2018年4月7日 1時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
狂桜花 - 一番最初から読ませていただきました(*^^*)物凄く緊張感があって背中がゾクゾクしました(笑)最終回楽しみにしています！更新頑張って下さい！あと『償いアリス』に一票です！ (2015年12月12日 9時) (レス) id: afbc5a8e6c (このIDを非表示/違反報告)
子狐。 - 償いアリスに一票です。最終回楽しみにしています。 (2015年10月20日 16時) (レス) id: 2b9fb3470a (このIDを非表示/違反報告)
真庭朱雀(プロフ) - 『償いアリス』に一票です！理由は今回の狂気童話で小豆川さんの書くホラーのファンになってもっと読みたいと思ったからです！最終回楽しみにしてます！ (2015年10月12日 19時) (携帯から) (レス) id: 9a9ad35bf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆川 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/112121/
作成日時：2015年8月1日 21時
