最終章 シンデレラ4 ページ26
男は扉を開けると呆然とした姿でこっちを見ていた。
この男は誰だ?
男は傷だらけの姿で数十秒黙って私を見ている。
なぜずっと見つめているのかと思っていると、男はその沈黙を破るようにぼそりと呟いた。
「美しい」
「え?」
「都市伝説は本当だったのか!!『眠り姫』よ!!」
男はそう叫び私の元へくる。
そして、手を取りきゅっと少し力強く握られた。
ああ、コイツ私の顔しか見ていない嫌なタイプだ。
思わず嫌な顔をしそうになるが、私は笑顔で接する。
「はい、私が眠り姫です。よくここまでたどり着けましたね」
きっと眠り姫とは私が眠っている間に広まった噂かなんかだろう。
確かに、こんな薄暗く幽霊でも出そうな不気味な森にある城なのだから何らかの噂や都市伝説がたてられても不思議ではないだろう。
どうせ、ここに来たのは私を口説くためだけのくせに。
なにか言ってきたら適当に言って追い返せばいい。私はあの女に復讐をしなくてはいけないからこんなくだらない事をしている暇はないのに。
そう思いため息をつきたくなるけれど、我慢して微笑みながら男と接する。
「いえ、貴方のためならばたいしたことないです」
「照れてしまいます」
何を言っているのこの男は、というのが本心だがそれを隠して私は笑う。
しばらく喋った後に、男はまた少し黙り真剣な目でこちらを向く。
「……どうしましたか?」
ここで私に対しての告白がくるのかしら。
昔の男たちもそうだった。男たちは私と仲良く喋った後に私に告白をする。そして私はその告白をことわる。よくある事。
そして、男はやっと口を開けて私にこう言った。
「……こんな所でずっと住んでいるのは、退屈ではないでしょうか?」
「あら、別にそんな事は……」
「いえ、こんな薄暗い森に住んでいては人とのかかわりが少なくなってしまいます。俺の国にぜひ来てください」
なるほど、まだ直接告白はせずにまずは家に連れ込もうという事ね。
人とのかかわりが少なくなる?そのためにこの城を選んですんだのよ。
失礼な男ね、そう思いながら私はいつものようにこの男の誘いを断ろうとした。
その瞬間、一つの考えが思いついた。
ここで私がこの男の国に行けば、母親に私は幸せと言う事を見せてやれるのではないか。
私が愛されているということを見せつけてやれるのでは。
――それが良い復讐じゃない。
そんな考えを思いついてしまった私は、男に隠れてニヤリと笑いこう言った。
「……ぜひ行きます。宜しくお願いします」
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弥生2nd(プロフ) - 更新待ってます！狂気系が大好きなのでとても面白かったです！ (2020年4月12日 16時) (
レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 読ませていただきました。更新を待っています。永遠に… (2018年4月7日 1時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
狂桜花 - 一番最初から読ませていただきました(*^^*)物凄く緊張感があって背中がゾクゾクしました(笑)最終回楽しみにしています！更新頑張って下さい！あと『償いアリス』に一票です！ (2015年12月12日 9時) (レス) id: afbc5a8e6c (このIDを非表示/違反報告)
子狐。 - 償いアリスに一票です。最終回楽しみにしています。 (2015年10月20日 16時) (レス) id: 2b9fb3470a (このIDを非表示/違反報告)
真庭朱雀(プロフ) - 『償いアリス』に一票です！理由は今回の狂気童話で小豆川さんの書くホラーのファンになってもっと読みたいと思ったからです！最終回楽しみにしてます！ (2015年10月12日 19時) (携帯から) (レス) id: 9a9ad35bf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆川 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/112121/
作成日時：2015年8月1日 21時
