最終章 シンデレラ3 ページ25
××××
私が意識を失っている間は、幸せになっている気がした。
無の世界で自分を隠しハンスのいないこの世界から逃げるように、私は自分で眠りの魔法を出して眠った。
ああ、これで全て終われるんだと思っていた。
あの時出した眠りの魔法は相当強力な物だったから、眠りながら自然死できると思っていたのに。
――私は今、眠りから目覚めてしまったのだ。
「……そんな」
手を開いたり開けたりして自分の意識を確認する。
生きている。
そう気付いてしまった私は涙が出てきそうになった。
それは生きている事を喜ぶ涙では無く、生きている事を悔やむ涙。
今までのは所詮「ただの眠り」だったのだ。
私は死ねなかった。
この残酷な世界は私を殺すことを拒んだのだ。
ベッドのすぐ横にあるドレッサーで自分の姿を確認する。
そこに移っているのは少女ではなく大人の姿になっている自分が写っていた。
胸は前に比べて膨らんでいるし、身長だってかなり伸びている。
そして、顔の美しさは前と比べて変わらないという事になぜか安心してしまった。
「……ハンス」
そして、そんな安心もすぐに消えハンスの事が脳裏にうかぶ。
あの魔女にハンスは殺された。
ハンスはもうこの世にいないのだ。
「だったら私が生きている意味だなんて無いじゃない……」
不思議に涙は出てこなかった。
心にぽっかりと穴が開いたような感触。その穴からは風が通って冷たく感じる。
これを絶望と呼ぶのだろう。
そして、その絶望の中から私は生きることによって新しい感情が生み出された。
母親が憎い。
こんなにも人を憎んだのは初めてだった。
確かに前は母親の事が大嫌いだったが、別に憎んでいるという訳では無かった。
母親が私を殺そうと依頼した事を知った時は、ほんの少し。ほんの少しだけ悲しかった。な
しかし、そんな思いはこの憎しみによって無かったものにされていく。
このまま死んだら私はあの女の思惑通りだ。
――だったらせめて、あの女を苦しめさせてやりたい。
そう思った瞬間だった、
貴族のような格好をした男が扉を開けてきた。
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弥生2nd(プロフ) - 更新待ってます！狂気系が大好きなのでとても面白かったです！ (2020年4月12日 16時) (
レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 読ませていただきました。更新を待っています。永遠に… (2018年4月7日 1時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
狂桜花 - 一番最初から読ませていただきました(*^^*)物凄く緊張感があって背中がゾクゾクしました(笑)最終回楽しみにしています！更新頑張って下さい！あと『償いアリス』に一票です！ (2015年12月12日 9時) (レス) id: afbc5a8e6c (このIDを非表示/違反報告)
子狐。 - 償いアリスに一票です。最終回楽しみにしています。 (2015年10月20日 16時) (レス) id: 2b9fb3470a (このIDを非表示/違反報告)
真庭朱雀(プロフ) - 『償いアリス』に一票です！理由は今回の狂気童話で小豆川さんの書くホラーのファンになってもっと読みたいと思ったからです！最終回楽しみにしてます！ (2015年10月12日 19時) (携帯から) (レス) id: 9a9ad35bf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆川 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/112121/
作成日時：2015年8月1日 21時
