ゲンソウ37 ページ37
「……え!?」
「あっ……良かった、生きてた」
巧は安堵のため息のようなものをつき、その場に座り込む。
いや、そんな事はどうでも良い。俺は頭を強く抑えた。
―――――さっきのは何だったんだ!?
呼吸を荒くしながら、俺は周りを見渡す。
薬剤の臭いに、真っ白なシーツ。そして、ナース服を着た女の人。
――――ここはどう見ても、病室以外の何者でも無かった。
「え……なんでこんなところに俺はいるんだ?」
「思い出せないのかよ?……お前、七愛ちゃんに首しめられて……それで、お前はいきなりの事にショック状態になって気を失ったんだよ。それで、この病院に運ばれたってわけ」
ああ、なんとなく思い出した気がする。
つまり、俺がさっきいた花畑は……夢だったという事か。
わからなかった事が解決できて満足……という状況では無かった。俺が何よりも心配なのは、
「七愛は!?七愛は大丈夫なのかよ!?」
「七愛ちゃんはベッドで寝ている。パニック症状だってよ。精神安定剤を打って落ち着いたとかなんか看護師が言ってた」
パニック症状……本当にそうなのだろうか。
なんとなくだ。本当になんとなく違う気がした。
「なあなあ」
「んだよ、巧」
「お前さ、この公園覚えてるか?」
「この公園……?ああ、赤ノ城公園の事か」
「俺達が小さい頃さ!女の子いたじゃん?ポニーテールで着物みたいの着た!!」
そんな女の子いたっけな……そう頭を抱えて俺はベッドの隣にある水を口にそそぐ。
「いたっけ……?思い出せねえや」
「えー……俺、あの子が初恋だったのになー」
その瞬間、俺は口に含んでいた水を吹きだした。
巧は相変わらずの顔で「うわっ!きたねーな!!」と騒いでいる。
「いや……お前、恋愛とかしたことあったんだ」
「いや、あるに決まってんだろー!あの子どんな風になってんのかなー」
巧は微笑みながら、ペットボトルの中にある麦茶を飲む。
俺は意外な事実を知り、夢の事を考えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
脳花(プロフ) - 染餅。さん» コメントありがとうございます!!ななみであっていますよ。関係ないお話しですが、七愛の名前の由来はセブンアンドアイなんですよ(笑)セブンアンドアイで買い物をしている時に思いついたのでｗｗｗ (2014年10月5日 19時) (
レス) id: bd7c5ced89 (このIDを非表示/違反報告)
染餅。 - 妹さんて、ななみちゃんであってますか？にしても、このサイトにまだこんないい作品があるとは感動…|дﾟ)頑張ってください。 (2014年10月4日 13時) (レス) id: 1982cff81f (このIDを非表示/違反報告)
脳花(プロフ) - のんかさん» コメントありがとうございます!!最近は部活など学生の事情があって更新があまりできないのですが、こんな応援コメントをもらえるとは私は幸せですね ^^) _旦~~ 時間などを見つけ頑張って更新します。応援ありがとうです( ^)o(^ ) (2014年8月30日 20時) (レス) id: 97d2823ae3 (このIDを非表示/違反報告)
のんか(プロフ) - この作品面白いです！ゾッとする場面もあって続きが凄く気になります！更新頑張ってください！ (2014年8月30日 20時) (レス) id: 0bf760b6a5 (このIDを非表示/違反報告)
脳花(プロフ) - ∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマスさん» ちゅ、中国からアクセス!? すげえｗｗネコミミさん年齢いくつだろｗｗｗというか、さらっと中国発言にびっくりしたｗｗｗｗ (2014年8月10日 17時) (レス) id: 97d2823ae3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小豆川 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/112121/
作成日時：2014年4月26日 11時
