ゲンソウ35 ページ35
「な……どうしたんだよ!?本当に!!今日のお前はなんか変だぞ!?」
今度こそ本当にやばいと思った俺は、カバンを身を守るように構えた。
「……なんなんだよ」
「お前も何か言えよ!!心配なんだぞ!?」
「―――心に無い事をグチグチ言ってるな!!お前は私の事を何にもわかっていないんだよ!!!!」
――――俺は今の七愛の言葉で、いつのまにか体が動かなくなっていた。
金縛りとかそういう物ではなかった。ただ、なんとなく動かせなかったのだ。
「あいつだってそうだった!!!!私の事をいっつも心配して!!変なことを聞いてきて!!何もわかってないのにくだらない説教をかましてきた!!私の周りの奴はいっつもそうだった!!」
七愛は地面に座り込み、頭をグシャグシャと狂ったように掻き毟っていた。
「……七愛」
「……ス」
「……え」
「殺 ス」
そこから、何が起こったか一瞬わからなかった。
今おこっている苦しさと大変さを忘れて、俺は今の状況を確認する
―――――急にこっちへ弾丸のように突っ走ってきた七愛が俺を押し倒して馬乗りになって、今俺の首をしめている。
「……がぁっ!?」
俺は七愛の胸ぐらをつかみ、はなれさせようとするが――――まったく七愛ははなれない。
「殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス」
七愛の手にグッと力が入る。
喉の奥がつぶされるような感触に、汗ばんだ手の暑さ。
俺は胃の中から何もかも吐きそうな感触に襲われる。
「が……あッ」
「アアアアアアアアアアアアアア!!!!」
俺の目の前にいる首をしめている少女は、ただただ獣のように叫んでいた。
もう、俺にとってもなぜか死にたくないという気持ちは薄れていた。
ただ、今感じている苦しみを受け入れるだけだった。
俺が目をつぶったその時、
「そこにいるのは誰だ!?」
ピカッ!!
黄色の光が俺達を照らす。
朦朧手している意識の中、目を細めて見てみると、その明かりの人物の正体はライトを持った警察官だった。
「なっ……その手をはなせ!」
「ウアアアアアアアアアア!!」
男が二人で七愛の体を引きはなす。叫んでいる七愛の声は、よく聞こえなかった。
何もかも飲み込むような夜の街。
目の前に浮かんでいる三日月は、赤色に光っていた。
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脳花(プロフ) - 染餅。さん» コメントありがとうございます!!ななみであっていますよ。関係ないお話しですが、七愛の名前の由来はセブンアンドアイなんですよ(笑)セブンアンドアイで買い物をしている時に思いついたのでwww (2014年10月5日 19時) (レス) id: bd7c5ced89 (このIDを非表示/違反報告)
染餅。 - 妹さんて、ななみちゃんであってますか?にしても、このサイトにまだこんないい作品があるとは感動…|д゚)頑張ってください。 (2014年10月4日 13時) (レス) id: 1982cff81f (このIDを非表示/違反報告)
脳花(プロフ) - のんかさん» コメントありがとうございます!!最近は部活など学生の事情があって更新があまりできないのですが、こんな応援コメントをもらえるとは私は幸せですね ^^) _旦~~ 時間などを見つけ頑張って更新します。応援ありがとうです( ^)o(^ ) (2014年8月30日 20時) (レス) id: 97d2823ae3 (このIDを非表示/違反報告)
のんか(プロフ) - この作品面白いです!ゾッとする場面もあって続きが凄く気になります!更新頑張ってください! (2014年8月30日 20時) (レス) id: 0bf760b6a5 (このIDを非表示/違反報告)
脳花(プロフ) - ∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマスさん» ちゅ、中国からアクセス!? すげえwwネコミミさん年齢いくつだろwwwというか、さらっと中国発言にびっくりしたwwww (2014年8月10日 17時) (レス) id: 97d2823ae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小豆川 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/112121/
作成日時:2014年4月26日 11時