ハナノゲンソウ

ゲンソウ21 ページ21

もしかして――――ばれてしまったか!?
七愛の言葉に、思わず全身から汗が噴き出てくる。
今の俺の頭の中では、「マズイ」の言葉がずっとリピートされていた。

「な……なんでだよいきなり!!」
「なんかお兄ちゃん達話してるから……私が聞いたときには、花のなんちゃらって……」

頭の中で危険信号がビーッ!!ビーッ!!となりだした。
何で、こいつはその事まで知ってしまっているんだ!?落ち着いて考えよう……
―――そういえば、七愛はいっつも俺と巧が遊んでいる時にお茶を運んできてくれるという礼儀の良い奴なのだ。しかし、今日はお茶を運んでこなかった……という事は……
――――お茶を運んできた時に、七愛に聞かれてしまったか

「本当になんなのお兄ちゃん？まさか変な事に関わってんじゃ……」
「ね、ねえよ!!俺そんなのに面倒くさくて関わんないって……」

ごめん、七愛。今俺嘘ついた。
嘘をついた罪悪感が沸きながらも、なんとか次の言い訳を頭の中で構成していた。

「だ、だからさ……本当にちげーってば!!花のなんちゃらって何だよそれ……?お前の聞き間違いとかじゃねーの?」
「ふーん……じゃあ、良いよ」

七愛はそう言うと、プイッとそっぽを向いてしまった。
普通ならもっと追及してくるところだが、なぜ七愛はあきらめたのだろうか?

「……わかんねーなー」

とりあえず、助かったことは助かったし、もうその話題には関わらないようにしようか。
俺はそう思いながら、着替えを持ち風呂場へと向かって行った。

ゲンソウ22→←ゲンソウ20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す