ハナノゲンソウ

ゲンソウ15 ページ15

「あと、七愛。明日巧来るけど良いよな?」
「巧?……ああ、あのタレ目の人か」

そう言って七愛はポンと手をついた。
たれ目か……。まあ、俺も巧はたれ目だと思うが。
そう思いながら俺は冷蔵庫を開けた。中からふわっと冷たい空気がくる。
俺は冷蔵庫の中を漁り、一つのプリンに手をかけた。

「マジックペン貸してくんねえか?できれば油性で」
「ん?良いけど、何に使うの?」
「いいから」

俺がそう言うと、七愛はちょこんと片手にマジックペンを持ち、俺の元へと渡してきた。
俺はすぐにそのマジックペンを受け取り、プリンの容器に大きく目立つように「俺のプリン」と一息にキュッと音を立てて書いた。

「ん?お兄ちゃん何してんの?」
「見ての通り。プリンに名前書いてる」

そう言って俺は冷蔵庫にプリンをしまった。
このプリンは、俺が結構遠くまで行って買った新発売のプリンなのだ。これを七愛に食べられるわけにはいけなかったので、俺は名前を書いたという事だ。

「……私プリン食べるつもりだったんだけど」
「ふざけんな、遠くまで行って買ってきたやつだぞ。食ったらぶん殴るからな」
「ひどーい!!私女の子だよ!?」

そんな都合よく「女の子」の言葉を使う七愛を無視し、俺はパソコンを立ち上げた。
そしてこの間のように、また七愛がひょっこりとパソコン画面を見てくる。

「……なんだよ七愛」
「いや、お兄ちゃん最近パソコン使ってんなーって」

そう言いながら七愛は俺の肩に持たれてきた。
俺は肩にのしかかる思い七愛をどかし、すぐさまに文句を言う。

「いや、だからってパソコン使ってる時は見んじゃねーよ」
「もしかして、アダル.ト系のサイト調べてる?」
「な……なわけねーだろ!!」

俺はバンッ!!とキーボードをたたき、七愛の言葉を否定した。
そんな言葉に敏感に反応してしまう俺は思春期なのだろうか…しかし、七愛はそんな否定を流すかのように俺の事をジー…っとみてきた。

「…んだよ?」
「いや、アダ.ルトサイト調べてないのはわかったけどさ、何か隠しているでしょ?」

その七愛の言葉にオレはドキッとしてしまい、否定するのに間があいてしまった。

「な……なわけねーだろ」
「ほら、やっぱり何か隠してる」

そう言いながら七愛は俺のおでこをチョンとつついた。
いつからこいつはこんなにするどくなったのだろう。油断はできないな。

「と……とにかくあっちいけ!」
「えー、わかったよ」

七愛はしぶしぶ言う事を聞いて、隣の部屋へと消えていった

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