第百二十九夜 黒川嬢の母君 ページ40
「…ただいま」
「おかえり、リョーマ」
随分と疲弊した様子のリョーマが帰ってきた。
今はただの姉と弟。青学と立海として会うのは決勝だけでいい。
「そっちはどうだ?順調か?」
「当然でしょ」
聞くところによると、青学も氷帝も順調に勝ち進んでいるらしい。氷帝に至っては危なげなくストレートだそうだ。
「立海もなんら問題はない。ただ帰りに走らされた」
「…鬼畜じゃん」
「やっぱりそう思うか?」
幸村は部員に優しいのか厳しいのかわかんなくなってきたな。大切に思ってるのは間違いないが。
「…あ、そういえば」
「ん?なんだ?」
「氷帝のマネージャーがAに渡してほしい物があるって預かったんだけど。はい」
「美雪から?」
リョーマが渡してきたのは白い封筒。
手紙?美雪とはメールアドレスを交換しているのだからメールで十分だとは思うんだが…?
『拝啓 白銀A様
突然のお手紙失礼します。
美雪の母の黒川美玲と申します。
貴方のことは娘からよく聞かせていただきました。
突然のことで申し訳ありませんが、明日、お時間がございましたら一度お会いしたいと思っております。
時間は何時でも構いません。場所は私の家をお使いください。
迎えには美雪を向かわせますので、どうかよろしくお願いいたします。
敬具』
開封すると、女性らしい綺麗な文字でそう綴られていた。
差出人はどうやら美雪の母親らしい。
「…黒川嬢の母君からお誘いとはね」
はてさて何が起こるのやら。
手紙を机の上へ置くと、窓を外から軽く叩く音が耳に届いた。
目線を窓へ向けるが、暗闇に溶け込んで音の主は見えない。そもそもここは二階だ。わざわざ窓を叩く必要はないだろう。
「……開けるよ?」
「構わない。何かあったらボクが対処しよう」
意を決したリョーマが窓を開け放つと、風が吹き込んでカーテンがはためく。
何事かと思えば、鳥が翼を広げるような音。
「白銀さん、お久しぶりっス」
聞き覚えのある声。
いつぞやお世話になった青年。
窓から入ってきたのは、漆黒の翼を背に広げた、真っ白な髪の烏天狗だった。
御神籤の王子様 ver.四天宝寺
小吉っすわ。メンド…
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ノア(プロフ) - パンドラさん» ありがとう( *`ω´)ベッタベタな内容だけどやっと恋愛方向にも走れました(笑)ちまちま更新していくのでこれからもよろしくです! (2016年1月23日 19時) (レス) id: 836babe48a (このIDを非表示/違反報告)
パンドラ(プロフ) - 回を重ねる度にどんどん面白くなっていきますね!流石です! (2016年1月23日 17時) (レス) id: 4b52225c75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2016年1月19日 17時