第百七夜 手本 ページ18
季節も移り6月。
「…やっべ、寝坊した!なんで起こしてくれなかったの!?」
「何回も起こしたぞ…?」
現在午前9時56分。県大会、都大会2日目。
青学の集合時間が10時だというのに堂々寝坊したリョーマが絶叫していた。
叩いても揺すっても起きなかったし…挙げ句の果て甘嚙みまでしたのだが。
「…あっ!そうだA、俺に化けて行ってきてよ」
「は?いや無理だろ。ボクらも県大会あるんだから」
「俺が行くまででいいから」
む……仕方ない。他ならぬリョーマの頼みだ。
手からリョーマの携帯をふんだくり、玄関でスタンバイ中のラケットバッグを背負って、「早く来いよ!」と言い捨てるような形で外へ飛び出した。
周りに人がいないことを確認して鳥に化けてショートカットを狙う。走っていくよりは早く着くだろう。
「…もしもし仁王さん?俺だけど。状況はあとで説明するけど県大会遅れる」
『…?Aと思ってええんか?それに口調と声音的に越前に化けとるな。とりあえず幸村に伝えとくきに』
会場の手前でふわりと降り立ち、すかさずリョーマに化ける。青い青学ジャージのポケットにリョーマの携帯を滑り込ませ、自分の携帯で雅治に連絡を入れた。これで大丈夫だろう。
ガチャガチャと背負ったラケットバッグの中でラケット同士がぶつかって音を立てる。
現在午前10時4分。4分の遅刻だ。急げ!
「…?」
5分になるギリギリ前に会場に滑り込む。リョーマとさほど身長が変わらないように見える少年が青学ジャージを纏い、白い帽子を被ってボソボソと「ま…まだまだだね」と呟いていた。
リョーマの真似のつもりか?正直全く似ていない。
どれ、手本を見せてやろうか。
「…それって俺の真似のつもり?全然似てないじゃん、まだまだだね」
左手で帽子のつばをつまんで、青いジャージをはためかせながら、同じジャージの軍団へ言葉を飛ばす。
「越前!」
「チッス」
前髪?が二本だけちょんちょんと飛び出ている髪型の人がボクの…リョーマの名前を呼ぶ。
ボクの姿を捉えてみんな安堵の息を漏らしていた。
御神籤の王子様 ver.四天宝寺
小吉っすわ。メンド…
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ノア(プロフ) - パンドラさん» ありがとう( *`ω´)ベッタベタな内容だけどやっと恋愛方向にも走れました(笑)ちまちま更新していくのでこれからもよろしくです! (2016年1月23日 19時) (レス) id: 836babe48a (このIDを非表示/違反報告)
パンドラ(プロフ) - 回を重ねる度にどんどん面白くなっていきますね!流石です! (2016年1月23日 17時) (レス) id: 4b52225c75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2016年1月19日 17時