第七夜 その名は ページ8
『てにすこーと』内のベンチに腰掛け、僕は二人の『てにす』を見る。
後方からの視線が気になって仕方がなかったけど、今は見るのに一生懸命で女子たちの存在すら忘れてしまっていた。
それにしても二人共…
「…楽しそう」
黄色い球体を網のようなものを張った棒───後にテニスボールとラケットという名だと知ったのだが───で打ち合うだけの簡単な競技に見える。
だが彼らがあまりにも楽しそうなものでその考えは訂正しておこう。
僕も興味があるし、やってみたいとは思う。
やりたいなら、“見て覚えればいい”。
誰かに化ける時、対象を観察する故か僕は観察眼が鋭い。それを利用してフォームを覚えてしまえばいいだけ。
「桃城武は右利き、越前リョーマは左利き…」
そして当の僕は左利き。だから越前リョーマの型を覚えてしまう。
しばらくして越前リョーマのラケットを借りて壁打ちというものをやってみる。
「楽しいな、これ」
「…アンタ、テニス知らないんじゃなかったの？」
「そうだが…？テニス歴は３分だ」
「３分！？マジかよ…ってかフォームが越前のに似てるっつーか…まんま同じじゃねーか？」
そのあと試合なるものもやってみたが───流石にこてんぱんにされてしまったが。
桃城武にも越前リョーマにも勝てなかった。
奥が深いな、テニス…
「ねぇ、アンタはここよく来るの？」
「いや？今日が初めてだ」
「初めてであこまでいくのはスゲーよな、スゲーよ！えっと…？」
「あぁ、すまない。まだ名乗ってなかったな。僕は…」
僕は二人の目を見てふっと口角を上げる。
少々勿体ぶる感じに口を開いた。
…別にカッコつけてるとかじゃないからな？
「僕は白夜だ。今日はありがとう。桃城、越前
じゃあ僕はこれで。また会えるといいな」
桃城は手を振って送ってくれる。いい奴だ。
越前は僕の名を聞くと大きく目を見開く。
不思議に思ったのか桃城が「越前？」と声をかけるが彼はその言葉にも気づいていない。
「じゃあ…やっぱアンタさっきの…！？」
後ろを向き、歩いたまま背中越しに手を振る。
さぁ、今宵は満月。彼への恩返しは今夜だ。
御神籤の王子様 ver.立海
凶ですね。アデュー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「テニスの王子様」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノア(プロフ) - けとるさん» あぁ、成る程。これからもよろしくです (2015年11月1日 15時) (
レス) id: 836babe48a (このIDを非表示/違反報告)
けとる(プロフ) - 元のデータはぴーのんです…笑 (2015年10月29日 18時) (レス) id: bfe4a96d52 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - けとるさん» おぉ…？元のデータの人が何方か知りませんがこれからもよろしくお願いします (2015年10月28日 15時) (レス) id: 836babe48a (このIDを非表示/違反報告)
けとる(プロフ) - データ消した！こっちになった！ (2015年10月25日 9時) (レス) id: bfe4a96d52 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - パンドラさん» おぉぉ…！こっちも読んでくれたのか…こちらこそ読んでくれてありがと！今後ともよろしくですw (2015年9月1日 19時) (レス) id: 836babe48a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ノア | 作成日時：2015年8月13日 20時
