NOTHING TITLE (ページ6)

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赤

怖かった。

見たことのない神ちゃんが。

名前を呼んでも答えてくれない神ちゃんが。

されるがままで、救急車に乗せられる神ちゃんが。

なんの異変も、そんなそぶりも見せなかったのに。

ずっと一緒におるはずなのに、なんで気づけなかったんやろうと自分を責める。

そんな神ちゃんから連絡があったのは、倒れてから1週間後のことだった。

話すことがある、そう簡潔にまとめて送られたグループメール。

みんなが一斉に返事をする中、俺は何も返せなかった。

たった7文字、絵文字も何もない文章。

いつも通りのはずなのになにか深刻な気がして。

『わかった』と返すのは簡単なはずなのに、携帯を見つめて固まってしまった。

ふぅ、

ため息は、誰もいない部屋に消えていった。

本人が連絡してきてる時点で、生きているってわかってる。

でも、すぐ消えていってしまいそうなそのメールは、俺を不安にさせる一方だった。

赤「神ちゃん、」

緑『どうしたん、しげ」

赤「神ちゃん、神ちゃん」

緑『はいはい、後でしっかり話そうや』

いてもたってもいられず電話したけど、向こうから聞こえてきたのはいつも通りの神ちゃんの声やった。

そろそろ、覚悟を決めなあかん。

神ちゃんの口から、いいことが語られても悪いことが語られても、1番衝撃を受けてるのは神ちゃん。

俺がそれ以上になったらあかん。