NOTHING TITLE (ページ3)

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黄

「今の方の、荷物とかあります？」

紫「あぁ、はい」

今言われるまで、荷物のことなんか忘れていた。

Dr「ご家族には、こちらから連絡させていただきますね」

若めの医者が、神ちゃんの荷物を持ってまた中に入って行った。

そっか、家族じゃないとあかんのか。

俺らメンバーの方が、家族よりも一緒に過ごしているとはいえ、血の繋がりとかは全くの赤の他人な訳で。

今ここは東京で、神ちゃんのおかんは兵庫におる。1時間とかで来れるわけやない。

そういう時ってどうすんねやろ、とか、いらないことばかり頭をよぎる。

どちらにせよ、神ちゃんが『Yes』と言わない限りは、きっと俺たちは何も知ることができない。

自分の弱みをなかなか見せてくれない子やから、俺らには言ってくれないんちゃうかと不安になる。

橙「ごめん、お待たせ」

遅れてやってきた照史と、照史に手を引かれてくるしげは、知ってるしげじゃなかった。

黄「神ちゃんは今あのドアの向こうにおるよ。でも俺らは多分病状とか詳しくは聞かれへんと思うから、また明日とかに出直すことになるんちゃうかな」

赤「、、そっか、」

俺よりも何倍もこの出来事についていけてないのが見て取れる。

いつもの威勢のいい声はなく、蚊の鳴くような細い声で返事をしていた。

Dr「ご家族の方と連絡取れましたので、帰っていただいて大丈夫ですよ。ご協力ありがとうございました」

いいのか悪いのかよくわからないタイミングで、さっきの医者がこう言った。

黄「一旦車戻ろうか。それからいろいろ考えよう」

ここにいても俺らには何もできない。