からかうのはやめてください。【宇髄天元】

八 ページ8

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「 知ってるか？
あの呉服屋の娘さん行方不明だってよ 」


「 ああ、聞いたよ. 」





近くの席に座った市民2人がこそこそと話をし始めた.

こそこそ、とは言えど隣り合わせの席のため聞こえてきても当然か.







宇髄様と顔を見合せ、頷き合った.





「 行方不明になったら帰って来ないしよぉ 」



「 噂じゃ鬼の仕業らしいしな 」





「 鬼？ 」





タイミングを見計らった宇髄様は、不審がるように市民に声をかけた.





声をかけられた市民は半ば不思議そうな顔をし、
「 知らねぇのか？ 」と言ってきた.





「 まぁ…、観光に来てる者なんでね 」







「 へぇ、この街観光客か、珍しいな.まぁ、教えておいてやるよ.
最近、この街に住む若い女が次から次へと行方不明になってんだ. 」



『 鬼、と言うのは？ 』



「 人喰い鬼だよ. 行方不明になってる若い女は鬼に喰われてるんじゃないかって. 」







鬼の噂が出るってことは、
やっぱり鬼の仕業なのかな.













「 嬢ちゃんも気をつけた方がいいかもな. 」



『 え？ 』










「 何でもその鬼は黒髪(・・)の若い女ばかり狙ってんだよ. 」





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