3 知り合いとかいる? ページ4
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オーナーにそそのかされて昔を思い出す。
私がオトコ嫌いになった原因は小学生の頃だった。
罰ゲームだったのか、私の事をホントに好きだったのか分からないが、朝自習のしーんと静かな教室でいきなり告白まがいな事をされた。
周りの男子はそれを面白がって私を茶化す。
それが嫌で嫌でオトコ全員嫌いの対象になった。
その事を親戚のお兄さんである鶴崎さんに愚痴ったりもした。
お兄さんは面倒見のいい人だから、オトコだって分かっていても安心して話しが出来る。
お兄さんとは同じ学校とかではなかったら同級生たちにいじられる事も無かったし、別に鶴崎さんと恋人関係だと疑われたとしてもお互いそんな気持ちないから否定出来るし。
その頃からだったのか。
私はオトコが嫌い、というより人間が嫌いになってしまったのかもしれない。
バイトが終わりアパートに帰って来た。
バッグに入っている部屋の鍵を探していると隣の部屋の扉が開く音がした。
「あ」
「こんばんは。こんな遅くまでお仕事でしたか」
「えーっと…、そうですね」
さっき会ったオトコだ。
名前は確か…拓哉くんってオーナー言ってたっけ?
覚える気もないのだが。
「早く部屋に入った方がいいよ。夜になると虫がうじゃうじゃいるから、この辺」
「ひぃっ!」
「虫嫌いなんだ。だから早くお入りなさい」
私は急いで部屋の中に入って深呼吸をする。
なんなんだ、あの隣のオトコは。
確かに夜になると虫がたむろしていたりするから怖いのだけれど。
わざわざそれを言いに来たのか、あのオトコは。
なんでオーナーは隣のオトコを私に教えたのか。
知らなければお互いあんな風に会話をする事も無かったのに!
……拓哉、くんか。
一応要注意人物リストに入れておこう。
朝になって燃えるゴミを出す。
今まで鉢合わせになった事など一度も無かったのに昨日からやたらと隣のオトコと顔合わせになってしまう。
「おはようございます、鶴崎さん」
「お、おはようございます…」
スッピンの私とアパートの敷地内なのに帽子を被っているオトコ…なに?有名人なのか、アンタは。
「鶴崎さんってもしかして東大に知り合いとかいる?」
「へ?」
なんだなんだ?
このオトコ、鶴崎さんの事でも知ってるのか…?
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作者名:*ゆ う* | 作者ホームページ:
作成日時:2024年3月26日 9時