1 心の支えである東大王。 ページ2
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２０２０年３月、めでたく大学を卒業。
でもめでたくはない。
なぜなら就職先が決まっていないからであって…
私は地方にある大学に通っていてのらりくらり過ごしてきた結果がこれである。
とりあえずどこでも良いから働きなさい、という親の有り難きお言葉を無視して東京へ向かった。
少なくとも地元よりは就職先も早く見つかるだろうし、バイトしながら生きねばと思った。
東京には親戚のお兄さんである鶴崎修功さんがいる。鶴崎さんは昔から仲が良くて様々なオタク文化を教えて頂いた。
頭が良いみたいだけど、私と会話する時は勉強という単語も一切発しない変わり者だ。
私はオトコは嫌いだが鶴崎さんは別。
…鶴崎さんをオトコとして見ていない説は、多少あるかもしれないが。
「Aちゃんってなんのバイトしてるの〜？」
「隣駅にあるコンビニですよ。あとたまに塾の採点バイトとかありますけど」
「Aちゃんはどんなところに就職したいとか、夢とかないの？」
「ないですね。強いて言うならオトコが居なくて一人で気楽に出来る仕事がしたいです」
「オトコ嫌いは今でも続いてるってわけか〜」
「私がオトコを好きになるなんてありませんよ、鶴崎さん」
鶴崎さんは親戚である私を心配してくれては週に何回かご飯をご馳走してくれる。
バイトの愚痴も聞いてくれるし、女友達もいないに等しい私にとってお兄さんは心の支えになっていた。
「そろそろバイト行かなきゃ」
「俺も論文まとめたりしないとなぁ。Aちゃん、バイト頑張ってね。また連絡するね」
鶴崎さんにご馳走して頂き店を後にする。
目を細めてニコニコして手を振るお兄さん。
…私より２つ年上なのに可愛い。
そして私は仕事先であるコンビニへ向かう。
上京してから優しいオーナーさんと先輩たちのおかげで３か月働けている。
先輩たちもバイトの掛け持ちをしているらしく、塾のバイトも紹介して頂いた。感謝。
「お疲れ様です。そろそろレジ、代わります」
「鶴ちゃんは頑張り屋さんだねぇ」
「いえ。バイトがあるだけありがたいです」
オーナーは色んなビジネスを経営していて、アパートも幾つか所有しているらしく、私はそのアパートに格安で住まわせて貰っていた。
東京なんて恐ろしい所だと思っていたのに、親切な方もいるもんだ。
「そういえば、隣の部屋に住んでる男の子には挨拶した？」
「え？オトコ…ですか？」
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作者名：*ゆ う* | 作者ホームページ：
作成日時：2024年3月26日 9時
