離さない、離れない-Hiroomi.T- (ページ8)

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私は、もう少し作業があるので続けていると

広臣「A。」

A「臣、こんな時間までどうしたの？」

広臣「Aを待ってたんだよ。明日、親父さんたちの墓参り行くんだろ？」

A「うん。」

広臣「今日はこれくらいにして帰ろう。毎日残業してると体壊すぞ。」

A「大丈夫だよ。」

広臣「Aが大丈夫って言う時は大丈夫じゃない時。」

A「え？」

広臣「強がってる時。」

A「強がってなんか・・・。」

広臣「まだ何か言われてんのか？」

入社した当初、HIROさんと同じ苗字である事から先輩写真や同僚たちに
あれこれ陰口を言われ、それは三代目のマネージャーになった事により酷くなった。

その時に庇ってくれたのが夏菜子と美咲であり
それ以来、夏菜子と美咲は私の味方になってくれた。

あの2人は私がHIROさんの親戚だと知っても偏見など持たずに傍に居てくれてる。

陰口を言われてる所に臣も出くわした事もあった。

A「たまにね。」

広臣「HIROさんに言うか？」

A「ダメ！」

広臣「なんでだよ。」

A「ここは皆に夢を与えるところなの。それを壊しちゃダメ。」

広臣「A・・・。とりあえず今日は遅いから俺の家でいいよな？」

A「ありがとう。」

パソコンの電源を落としテーブルの上を片付け必要な物を鞄に入れ事務所を出た。

臣は1度家に帰ってから迎えに来てくれたみたいで車で来ていた。

広臣「はい。鞄は後ろに置くぞ。」

A「うん。」

臣は助手席のドアを開けてくれて私が乗ったことを確認してドアを閉めた。

鞄は後部座席に置いて一緒に乗っていたブランケットを持って運転席に乗った。

広臣「寒いだろ。エアコンが暖まるまで、これ掛けてろ。」

A「ありがとう。」

臣は私の膝にブランケットを掛けてくれた。

その時にフワッと嗅いだことのある香りが漂ってきた。

A「あれ？」

広臣「ん？」

A「この香り。」

広臣「そ。俺のライブグッズのフレグランス。
　 Aが、いい香りって言ってたから出る時、掛けて来た。」

A「そうなんだ。」

事務所から、しばらく車を走らせると臣の自宅の近くにやってきた。

A「ねぇ。」

広臣「ん？」

A「この辺で止めて。」

広臣「なんで。」

A「エントランスの前、マスコミに張られてるかもしれない。時間差で・・・。」

そんな私の言葉を遮り臣の車はマンションの前を堂々と通り地下駐車場に入って行った。