離さない、離れない-Hiroomi.T- (ページ27)

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広臣「なぁ。」

A「ん？」

広臣「さっきの話、嘘じゃないよな？」

A「お腹に赤ちゃんが居るって話？」

広臣「うん。」

A「嘘じゃないよ。ずっとアレが来てなくてね、検査薬で調べてみたの。
　そしたら陽性って出て。
　病院に行ってみたら、妊娠２ヶ月だって。
　エコー写真も貰ってきたよ。見る？」

広臣「見たい。」

窓際から離れベッドに置いたバックから、病院で貰ったエコー写真を臣に渡した。

A「はい。」

広臣「まだこんなちっちゃいの？ヤバいな。」

A「できちゃった婚になっちゃったけど、ごめんね？」

広臣「なんで謝るんだよ。この子は俺たちの愛の結晶だろ？
　辛いことがあったら頼れよ？てか何もしないで座ってろ。」

A「そんな訳にはいかないよ。仕事もあるし、家の事もしなきゃいけないんだから。」

広臣「仕事はHIROさんと相談しよう。家の事は俺が帰ってきたらするから。」

A「でも臣は疲れて帰ってきてるんだし・・・。」

広臣「いいか？聞いてくれ。」

臣は私の方を向いて片膝をベッドの上にあげ私の腰に手を回し優しく引き寄せた。

広臣「俺は男だ。で、Aは女だ。赤ちゃんはAのお腹の中に居るよな？」

A「うん。」

広臣「今の状態で赤ちゃんを守れるのはAしか居ないんだよ。
　外に出るときや階段の上り下りでは手を貸すことはできるけど
　それ以外は、赤ちゃんはAしか頼れる人は居ないんだ。
　そこまでは分かるよな？」

A「うん、分かる。」

臣は優しく子供に語り掛けるように話す。

広臣「仕事は、ほとんど一緒に居るからいいけど、家では俺居ないじゃん。
　その時、Aや赤ちゃんに何かあったら俺、落ち着いて歌えないよ。」

A「そんな・・・。」

広臣「Aは俺の歌、好きだろ？」

A「大好きだよ。臣の声聞いてると安心できるもん。」

広臣「だから家ではソファーに座って待ってて。
　暇なら休みの日でもTSUTAYAに行ってDVDでも借りよ？一緒に行くから。
　 Aはパズル好きだよな？パズル買ってきてもいいし。
　編み物も出来るから赤ちゃんの帽子とか靴下とか編んでてもいいから。
　毛糸とかも一緒に買いに行こう。な？」

A「うん。そうする。」

広臣「あとお風呂とかも俺と一緒に入ること。１人で入って、お腹ぶつけたら大変だから。
　今日は疲れたな。お風呂に入って寝よう。」