ハッピーエンドなんかない。3 ((Ryosuke.Y & Kei.I))

#92 ページ11

慧side





全身に衝撃が走ったことなんて、言うまでもない。




色んな感情がかけ巡ったが、でもどこか冷静だった。









ついにバレたか。




もちろんバレないように細心の注意はしてきたつもりだったけど、

いつかはバレる時がくるって思っている部分もあった。




事実と嘘が混ざった記事に悔しさを感じた。





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どんなに辛くても、それを表に出すことは許されない。



溢れ出しそうな感情に蓋をして、楽屋のドアを開けた。



部屋には1人、俯いた山田がいた。



目があったと思えば、再び俯く山田。




涼介「…今日発売だってね」

慧「うん…」




涼介「ごめんね、伊野ちゃん」

慧「山田が謝る必要ないだろ。俺の方こそ、ごめん」




交わした言葉はそれきり。



無言の状態がしばらく続いたあと、他のメンバーがやってきた。






何があっても、仕事に私情は持ち込んではいけない。



他のメンバーに謝ったうえで、いつもの笑顔をカメラの前で振りまいた。





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ぼーっとしたまま仕事を終え、家に着く。





今君はどんな気持ちでいるのだろう？





閉ざされた窓の前で、夜景に向かって問いかける。






.






数年前、孤独だった俺の世界に君は光を与えてくれた。




名前も知らない君をずっと探して、

ようやく見つけた。





嬉しかった。また会えたことが、素直に。




でも君もまた孤独だったことを知って、

今度は俺が助けてあげなきゃって思ったんだ。






君がそうしてくれたように。








きっと君は、知らないけど。

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