ハッピーエンドなんかない。((Ryosuke.Y & Kei.I))

#10 ページ11

貴方side





「映画、「キミイロ」本日公開です！」

『ぜひ、観てくださいね！』









「はい、カットー」


スタッフの声が響いて周りがざわざわ動き出す。




もうすぐ公開する映画の宣伝のために、ニュース番組で流れる映像を撮り終わった所だった。






「ねぇ、ななちゃん。今夜ご飯でも行かない？」

『ごめんなさい、今日はちょっと…』

「えー、遠慮しなくていいんだよ？」

『あっ、あの、仕事があって…』

「ほんとに？ショックだな…じゃあ、また今度ね」





適当な嘘をついて、軽く頭を下げた。






キミイロ、という映画で共演した俳優の石井さん。


今、大ブレイク中の若手俳優






っていうのは表の顔で、業界では有名な遊び人らしい。





これで声を掛けられるのは7回目くらい…


映画を撮ってるときから、しつこく声を掛けられて、
その都度断ってきた。




まだ2人きりではご飯に行ったことないけど、

スタッフさんも含めた打ち上げで明らかにベタベタくっついてきたのは、しっかり覚えている。






別にタイプじゃないし、他のモデルさんや女優さんに対してもあんな感じだと聞いている。


マネージャーから気をつけてって言われてるけど…






まだ石井さんが遊び人だということを知らない時に、

残念なことに連絡先交換をしてしまった。



最悪な失態だ。









スタジオの出口から手を降ってきた石井さんに苦笑いをして、


また一つため息をついた。

#11→←#9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す