世界がくっつけばいい # ニア ページ26
.
『………に、ニア、…い、い、今のって、』
「キスです」
『そ、そういう意味じゃなくてっ……その、』
「……………好きですよ。Aが、好きです。心から」
思いもしなかったニアの告白に、Aの驚いた顔が再び、紅く、色づく。
ずっと、この気持ちを口にすることを躊躇っていた。
どんな顔をするのだろう、どんな答えが待っているのだろう。
そばで見る彼女の笑顔を見るたび、頭の中でそんなことを考えては、怖気づき、何度もかき消してきた。
そばにいられるのなら、このままでもいいと。
けれど、どこかで気づいていた。それはただ、自分の気持ちからもAからも、逃げているだけということに。
しばらく流れていた沈黙を溶かすように、Aが口をひらいた。
『……………あのね、？…ニア』
「……はい、」
『目つむっててもらっても、いい…？』
小さく響くソプラノが、ふたりしかいないこの部屋の中を満たす。
正直、予想もしていなかった言葉だった。それでもそっと、ゆっくりと。ニアは目をつむる…
１歩、また１歩…
近づく愛しい気配に、ニアの心臓がさらに高鳴る。
”………ちゅ、”
『ニア、わたしも……ニアのこと、ちゃんと男の子として、すきだよ』
やさしく頬に触れたAのくちびるに、Aからの愛の告白。
驚いて固まってしまっているニアに、Aは泣きそうになりながらも、言葉をつむぐ。
『ニア、つたわった……？』
「A、何も言わないでください」
まるで何もかも分かっているような、ニアの口づけが、Aのくちびるに再び落ちてゆく。
ふたりの世界がくっつく時。
それは、愛の始まりの時。
＊
「Aのファーストキスを奪ったと聞きました」
「Ｌ、あなたはどこでそれを…」
「そうですか…、もうしたんですね」
「まだ何も答えていません」
「そういえばニアのファーストキスは9歳の頃、誰とだったでしょう…」
「…それだけは内密にお願いします、絶対に」
「では事実を教えてもらいましょうか」
Aに言えるわけがない………Ｌが、私のファーストキスの相手だったなど。
160526.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 997人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Lに抱かれたい - Ｓっ気Lさんが見たいｯｯｯ (2020年1月2日 20時) (
レス) id: 09090d6677 (このIDを非表示/違反報告)
卯月 - ワイミーズ大好きなので見ていて楽しいです！マットの話もしくはマットとメロの話をリクエストしてもよろしいでしょうか？ (2019年4月14日 20時) (レス) id: b1a88bf701 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - 優希美青さん» わぁ〜！お久しぶりです！！！待ってくださってうれしいですっ( ; _ ; )/ (2018年7月29日 20時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
優希美青 - ほあああw久しぶりです！！待ってましたぁぁぁ (2018年7月27日 10時) (レス) id: 41afb63814 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - 蓮さん» 蓮さん、長らく長らくお待たせいたしました(>_<)１年かけてようやく書き終えることができました……。待っていてくださり本当にありがとうございます…！ご期待に添えたかどうかはわかりませんが、蓮さんが楽しんでいただけますように…！ (2018年7月13日 16時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：I
| 作成日時：2015年11月16日 5時
