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no.25 ページ25

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いっぱい弄ばれて意地悪された。



やめても待っても通じない角名くんは、それはもう愉しそうで。

キスのその先は可愛い下着のときがいいと必死に訴えるとすごく笑われた。


だ、大事なんです。そこだけはどうか……!!




そんな私の懇願が届いたのか「分かった、いいよ」
と彼は優しく頭を撫でてくれた。




まるで、やらかした夜を上書きするような優しい夜だった。







*






「…………」




ゆっくり目を覚ますと外で降っている雨のせいか頭が重たかった。

気のせいか、体もだるく感じる。






大きめの白いTシャツと短パン。

シンプルという言葉が似合う部屋。

私の大好きな匂いのするシーツ。



そして隣にはうつ伏せで眠っている角名くんの姿。






あの日の朝とほとんど同じ光景だった。






いま何時だろう……?


手探りでスマホを掴み電源を入れては眩しい液晶の光にうっと顔を歪める。




時間を確認して、ついでに通知がきてたSNSを開く。
それは昨夜遅くに更新された友人のもので。



花火。と浴衣姿の写真が数枚。

どうやら昨日は花火大会だったらしい。





向こうは雨大丈夫だったのかな?と眺めていると、

角名くんが小さく呻いて寝返りを打った。




ぼふっ、と片腕が体を覆うように上に被さってくる。

抱き寄せられた、いや違うか。潰された。





「………おもい…」




あつい、つぶれる。



そう文句を言うと彼は枕に顔をうずめたまま、その体を小さく震わせた。



あ、起きてる。笑ってる。

このひとキツネみたいな顔して狸寝入りしている。



こら。と肘先でつつくと枕から少しだけ顔をみせてニヤリと笑った。





「……なに見てんの?」


「ん?」





掠れた声で囁いてスマホを持つ手を緩く掴んでくる。

友達の写真、そう答えて画面をみせる。



意外にも「花火すげえ綺麗に撮れてんね。…あ、浴衣じゃん」と
角名くんは興味ありげだった。






「角名くんも浴衣とか似合いそう」


「何色?」


「黒とか紺とか。落ち着いた色」


「ふぅん?いいね」





ゆるく会話を交わしては口を閉じる。

少しして枕に顔をうずめた角名くんが、ねえ、と呟いた。





「お腹空かない?」


「んーまだいいや二度寝したい」


「お前ほんとよく寝るな」





軽く笑われて今度こそ体を抱き寄せられる。



そしてまた沈黙。

されるがままにぼうっとしていると隣から寝息が微かに聞こえてきた。

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作者名:. | 作成日時:2020年5月29日 23時

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