no.14 ページ14
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それからというもの冷静になる為に、
角名くんから距離を取る、もとい逃げまくる日々が続いた。
もともと職場で会うことはあまりなくて。
体育館に練習を見に行ったときか、
帰るときにタイミングがあえば会うくらいだった。
「A、今度の取材の日って……」
「あ！角名くんテレビ取材明後日だから！
こもりんにも伝えてて！それじゃまた、お疲れ！！」
話し掛けられた時は手短に終わらせて。
あまり角名くんの顔を見ないように注意して、
近付きすぎないようにかなり距離をとった。
ひどい時はこもりんの後ろに隠れたりして「え、なにケンカ中？」と聞かれた。
それに対して特に連絡がくるわけでもなく。
遠征や合宿などがあってお互いバタバタして。
気がつけば、そんな状態のまま数週間が過ぎていた。
*
角名くんから距離を置いてしばらく経った土曜の夜23時頃。
「アイス買いにいこ……」
蒸し蒸しとする熱帯夜のせいか。
歯磨きも済ませていたのに無性にアイスが食べたくなって。
着慣れたTシャツに高校時代の部活動のジャージをはいて、
近所にあるコンビニへと向かった。
こんな夜中じゃ誰にも会わないだろうと油断して夜道を歩く。
そして数分後、その行動を非常に後悔した。
「あっ」
「げっ！？」
なんと目の前に似たような格好をした角名くんが現れたのだ。
「げって何」
「あ、いや、ええと…」
ヒィーーー！？ なんでいんのぉ！！？
なんとも最悪な状況に気落ちする。そして思い出した。
そうだ、角名くんちもこの近辺だった。と。
「こんな時間に何してんの？A」
小首を傾げながら角名くんが聞いてくる。
いやこっちのセリフだわ！と言いかけて何とか飲み込む。
よりによってこんな時に会うなんて。
スッピン。しかもすっごいダサい格好してるのに。
でもおかしい。角名くんも私と似たような格好してるのに、
全然ダサく感じないのは何でだろう？？
あっ、あれか。スタイルの差！んんんっ！！
自暴自棄になりながら半歩後ろに下がる。
「逃げないでよ」
「へっ！？」
「まあ逃げても全速力で追いかけるけど」
「ええ……こ、こわぁ…」
返した言葉は弱々しいもので。
さすがに角名くんと鬼ごっこするつもりもなく、
なんとかその場に留まった。
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作者名：. | 作成日時：2020年5月29日 23時
