no.11 ページ11
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帰っている途中。
角名くんがコンビニに寄りたいというので大人しく車の中で待っておくことにした。
タブレットや書類を鞄から取り出して近々行われるイベントの企画内容に目を通す。
時間や場所、イベントの流れを確認する。
あ、公式HPでもそのうち情報載せなきゃな。
んー。とタブレットを眺めていると、
「やば、つめた」
「あ、おかえり角名く…ってうわああ！！？」
びしょ濡れになった角名くんが車へと戻ってきた。
見るに堪えないその姿にビックリする。
いやコンビニ行っただけで何でそんな濡れてんの！！？
風邪でも引いたらどうすんのさ！！！
慌てて鞄からハンカチを引っぱり出して、
角名くんの顔や髪の毛に押し当てる。
運がいいことにハンカチは未使用のまだった。
「え、なに。優しいじゃん」
「そりゃあ角名くん大事な選手だし」
「ふーん？」
そう曖昧に返事をして角名くんはされるがままに大人しく目を閉じた。
しかしあれだ水も滴る何とやら。
色気が増すというか。なんかドキドキするな。
「…………………」
「？………A…？？」
ぴたっとハンカチを持つ手を止める。
固まる私を角名くんは目を開けて不思議そうに見つめた。
いや、いやいやいや。なにがドキドキだ。
角名くん(選手)相手になに考えてんだ私は。
「あ、ごめんね」
そう小さく呟いてまた手を動かす。
にしてもまた恋人みたいなことを……
いや。この場合はお母さんになるのだろうか。
なんだかよく分かんなくなってきて、
ハンカチを角名くんの顔面に強く押しつける。
そして何すんのと怒られた。
もういっそのこと自分で拭いてほしかった。
「風邪引かないでよ？」
「引かないよ。Aじゃあるまいし」
「どういう意味よそれ」
ハンカチやタブレットを鞄に入れながら、
その言葉に返事していると手をぐいっと引かれる。
「単純ってこと」
鼻が当たるんじゃないかって距離でそう囁かれた。
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作者名：. | 作成日時：2020年5月29日 23時
