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楽屋に向かうと空気がとてつもなく重いのを感じた。
「…Aも一緒に居たんでしょ説明しなさいよ！」
彼女さんがAに怒鳴っていた。
Aが震えていたのが見えてすぐに駆け寄った。
皇「何があったんですか？」
「この女がね、私と彼の写真を売ったの。聞けばAと皇輝もその場にいたから決めつけるなって言うから。」
彼女さんの事務所は恋愛禁止の所だった。だから雑誌社とかに売られてしまったらどうなるのか目に見えている。
皇「確かにその場にいましたよ。こんなことしてるとは思いませんでしたけど。何してるか教えてくれなかったんですよ？」
「は…？その話を信じろって言うの？」
皇「俺はどうであれ確実にAは違います。だってAは恋愛禁止なの知らなかったんだから。こんなに震えちゃってるし。」
「…」
皇「…時間そろそろやばいですよ。着替えましょ？A？いけそう？」
『…大丈夫』
これで本当に完璧な演技を見せるんだから凄いんだよな。
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『…っ、じゃあさ、2人とも良くないことをしてたってこと？付き合ってる時ほんとに幸せそうだったよ？』
皇「ほんとだよね。幸せそうだったよね。」
次の日から写真が出た彼女さんはしばらくの活動休止になった。
セリフは他の人達に割り振って乗り切ったんだけど現場の雰囲気は最悪で。千穐楽の日にも打ち上げとか無かったらしい。
俺とAは舞台が終わっても仲良くて。会う度に恋愛が怖いっていう話とか、でも皇輝くんはお兄ちゃんみたいでなんか平気とか言われて。
弱い俺はその時には既に自覚していた感情を顔に出さないことで精一杯だった。
結局お兄ちゃんポジションから抜けられないまま月日だけが過ぎていった
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作者名：いちご | 作成日時：2021年4月10日 20時
