002養われる側と ページ2
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「住み込み……え、甚爾さん社長様ですか」
「違ぇよ」
雇ってやるとか、そういう重要な雇用状況は社長が管理するものだと思っていたからどこかの会社の社長でもしているのかと思ったら違うらしい。
「家に住まわせてやるからガキの面倒見てくれ」
「あぁ…そういう」
フッとハイライトがなくなっていくのが分かる。私は知っているのだ、姉さんは不満もなく幸せだったらしいけれど、この男「元ヒモ」らしい。
姉さんと出会ってから丸くなったし、勝手に別の女の家に転がり込むことはなくなったらしいのだけど。
『A?私結婚したから!』
『おめでとう、姉さん。誰と?』
『……えーと、元ヒモ?』
『は?』
顎に手を当てて考え込む私を催促するような視線で見てくる圧と、不思議そうに話しかけてくる恵くんの可愛さを跳ね除けながら天秤にかける。
このまま実家に居ても私に良いことは無い。雇ってくれると言ってるんだ、恐らく給料なんてものはでないだろうけれど。どちらがいいのかなんて決まってる。
「その話、受けましょう」
「ん、じゃあ決まりだな」
恵くんを軽々と抱き上げた甚爾さんはニヤッと怪しくも妖美な笑みを浮かべた。よろしくな、なんて言って道を歩き始める甚爾さんの背中を慌てて追いかける。
さっきまでどんよりと曇っていて雨を落としてきそうだった雲は心做しか軽くなっているような印象を受けた。
それにしても好条件だ。住み込みなら食事付き。給料は出ないと思うけれど屋根も確保。家事くらいなら朝飯前。
「あれ?……この状況、女版ヒモみたいになってない?」
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三井葵(プロフ) - 最高の小説ですよ👍私の最推しパパ黒なのでこのお話物凄く好きですよ!更新楽しみに首を長くして待ってます (10月28日 9時) (レス) @page6 id: b90638a2fa (このIDを非表示/違反報告)
Geekest - え、好きです、もう大好きです。そのままぱぱ黒にはママ黒と主さんを重ねて見てもらって(( モヤモヤする主さんと純粋な恵くんが見たいいいいいい! 更新楽しみに待っております! (10月27日 21時) (レス) @page1 id: 4581214207 (このIDを非表示/違反報告)
いてこひゃ - あぁぁぁ...最推し甚爾さんなんです、ありがとうございます、いただきます...!毎回更新と新作楽しみにしていて、今回のお話も大好きです...応援しています-`📢⋆ (10月27日 17時) (レス) id: 4685323d64 (このIDを非表示/違反報告)
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